タイヤの一部が摩耗する「偏摩耗」の原因5つとその対策

空気圧の適正な管理と定期的なローテーションでかなり防げる

 当たり前の話だが、タイヤは走れば走るほど摩耗する。スリップサインが出るまで均一に減ってくれれば一番いいのだが、ときどき、トレッド面の一部だけ片寄って摩耗する場合がある。こうした摩耗を偏摩耗(異常摩耗)という。

 偏摩耗には、大きく分けて次の5つのパターンがある。

1)トレッドの片側だけが早く摩耗=「片べり摩耗」

2)トレッドのセンター部が残り、両ショルダー部が早く摩耗=「両片べり摩耗」

3)トレッドのセンター部が早く摩耗し、ショルダー部が残る=「センター摩耗」

4)タイヤが円周方向にのこぎりの歯のように摩耗=「ヒールアンドトゥ摩耗」(段差摩耗)

5)フラットスポットなど=局部摩耗(スポット摩耗)

 これらの偏摩耗は、原因がそれぞれ違うので、対処法も同じではない。

 1)の片べり摩耗は、ホイールアライメントの狂いやハンドルのすえ切り、あるいはハンドルをこじり過ぎ。さらにはオーバースピードでコーナーに進入し、アンダーステア気味に曲がっている人に起きやすい現象(FF車のフロントタイヤに多い)。

 2)の両片べり摩耗は、空気圧不足か積載過多。

 3)のセンター摩耗は、空気圧過多(後輪駆動車の後輪が、センター摩耗になりやすい)

 4)のヒールアンドトゥ摩耗は、空気圧不足かローテーション不足

 5)の局部摩耗は、ABSのない車両で、派手なブレーキロックをすれば一発! 急ブレーキ、急発進、急ハンドル、ドリフトetc.のドライビングの影響が大きいが、稀にタイヤのバランス不良というケースもある。

 偏摩耗の原因がタイヤ自体の品質不良ということもゼロではないが、その可能性は意外に少ない。多くの場合、偏摩耗は空気圧の適正な管理と、定期的なローテーションでかなり防げる。タイヤの空気は、1カ月で約5~10%も自然に低下してしまうので、やはり月イチのエアチェックは欠かせない。ローテーションは5000kmごとにやるのがベストだ。

 その他、新品のうちにタイヤのナラシもせず、いきなり「急」のつく操作を行ってしまうとタイヤにヘンな癖が付き、のちのち偏摩耗の原因になることもある。いずれにせよ空気圧の管理がバッチリで、定期的にローテーションも行っているのに偏摩耗するようなことがあれば、ホイールアライメントが狂っている可能性もあるので、放っておかずに早めに専門店でアライメントを調べてもらおう。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
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