エコカーで耳にする「ミラーサイクルエンジン」って何? (1/2ページ)

圧縮比を高めず膨張比だけを高めたエンジン

 エンジンはピストンが上下に動くことによって、そのシリンダーの容積を変化させます。ピストンを上昇させて吸い込んだ空気を圧縮し、燃焼させた時のエネルギーによってピストンを押し下げます。それぞれ圧縮比、膨張比と呼びますが、普通のエンジンでは圧縮比と膨張比はイコールなんです。

 ところが高効率を狙おうとすると、もっと膨張比が欲しくなるのです。普通に考えると圧縮比を高めればいいわけですが、しかし圧縮比を高くしていくとガソリンエンジンではノッキングが発生してしまいます。つまり、普通のエンジンではノッキングが発生しない上限で、圧縮比を決めているのです。

 では圧縮比を高めないで、膨張比だけを高める方法はないのでしょうか? それを実現したのがミラーサイクルエンジン、あるいはアトキンソンサイクルと呼ばれるものです。

 圧縮比よりも膨張比を大きくする方法は、いくつか生れました。日産の可変圧縮比エンジンのようなコンロッドにリンクを介する方法が、機械的に実現するひとつの方法でした。実際に現在、ホンダが発電用エンジンにそうしたサブコンロッドを使った機構を採用してアトキンソンサイクルとしています。

 その後、吸気系のなかにロータリーバルブを組み込んで吸気量を制限することで、見た目の圧縮比を低くする方法もありました。これはマツダがユーノス800/ミレーニアで登場させたミラーサイクルの手法です。


新着情報