エンジン車の呪縛から解き放たれた新型日産リーフが目指したデザインとは (2/2ページ)

室内のコンセプトは「リラックスとクール/ハイテックの共存」

 インテリアデザインにも目を向けてみよう。デザインコンセプトは「リラックスとクール/ハイテックの共存」だ。目指したのは、先進的なハイテク感の表現に加え、長く乗っていても疲れないリラックス感を重視したデザイン。近年の日産車のデザインテーマの1つである「グライディング・ウィング」で空間性と機能性を両立させながら、過剰な装飾を排して静的な質感の高さを表現。さらには薄さや軽さを表現した立体構成と色や素材の使い方によって、広がりを感じられる空間の実現を狙っている。

●インテリアデザイン担当/松尾才也さん

「EVはもともと車内が静かなんですが、新型は初代以上に静粛性に優れています。車内でいかに気持ちよく過ごしてもらえるかということに重点を置いてデザインしました。たとえば、プロパイロットによって単一レーンで自動走行する場合、従来の運転に比べてわりと景色がきちんと見えたりするんですが、背の低い女性ユーザーでも気持ちよく景色を見ながら運転できるようにメーターバイザーのボリュームを抑え、インパネ上部からAピラーまでブラックアウト化してガラスの端から端まですっきりさせています」

「スイッチ類のデザインも使いやすさを大事にして、機能的にグルーピングしたり、配置にミリ単位でこだわったりしています。こうしたことの積み重ねによって心地いい空間を目指しました」

●インテリア・デジタルモデラー/山野圭一郎さん

「デザインを損なうことなく設計要件を収めることに苦労しましたね。大まかなデジタルモデルを作ってデザイナーに見せ、そこでのやりとりの結果を設計に渡すということを繰り返し行って、生産につなげていきました。作っては壊すというトライ&エラーの回数は、私がほかのプロジェクトで経験したものよりもはるかに多かった気がします」

●インテリアカラーデザイン担当/イ・ミョンウンさん

「カラーデザインもリラックス&クールテックのムードを作ることにこだわっています。初代では明るくクリーンで、それでいて少しソフトなイメージでしたが、今回は黒をコントラストさせることで、よりシャープでモダンな上質感を狙いました。マテリアルやディテールそのものだけで考えるのではなく、お客さまがリラックスして楽しんでいるさまざまなシーンを想像しながらデザインすることを大切にしました」

「使っていただくお客さまに寄り添うという考え方は、デザインのあちこちに貫かれています。たとえば給電ポートの角度を決める際にも、デザイナーが設計サイドや生産サイドのスタッフと街なかに出ていって、実際にリーフに充電しているユーザーを見つけて使いにくさがないかといったことをインタビューしているんです。先代のリーフではコネクターを繋げるときに姿勢を屈まなければいけませんでしたが、新型では充電する人が普通に立っている状態でコネクターを挿せる角度に合わせているんです」(デザイン・プログラム・マネージャー/杉谷昌保さん)

 どんなに新しい技術が搭載されても、変わらず大切なのは、使う人が心地よく感じられること。新型リーフのデザインからは、そんなデザイナーたちの想いが伝わってくる。


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