高速道路を歩行者が横断! 自転車が走る! カオスすぎるインドのハイウェイ事情

逆走や高速道路上でのバックも当たり前!

 インドのモーターショー、通称デリーショー。正式名称が「デリー・オートエキスポ」という割りには、ショー会場はノイダという隣町にあるコンベンションセンターで開催されている。

 ノイダ地区はここ5年ほどで開発が進んでいるエリアで、同じくデリー近郊のグルガオンというところとともに、日本でいえば“つくば研究学園都市”のような大規模都市開発が行われている。

 2018年のショー開催のタイミングには、メトロ(地下及び高架鉄道)がデリー市内から直通しているとの話だったが、実際に訪れると高架はなんとかノイダまでつながったようだが、そこまでで時間切れとなったようで開通していなかった。そこがまたインドらしいので誰も文句はいわない(というよりかビジネスマンはクルマで移動するのでメトロは使わないとのことだ)。

 となるとメトロで行けるとこまで行って、そこからはショー会場へのシャトルバスで移動することになるが、筆者は帰りに資料などの荷物もできてしまうのでタクシーで向かうことにしている。

 なおデリーのタクシーはメーターがあっても使うことはなく、ほぼドライバーとの交渉になる。そして外国人などが利用するときは、基本的には半日や1日などの単位で貸し切りにするのが一般的とのこと。そうでもしないと、“プライベートタクシー”と呼ばれるハイヤーに近いタクシー以外は原則相乗りタクシーとなるので、どんどん見知らぬインド人が車内に乗り込んでくることになるようだ。

 料金の基本は8時間拘束で走行距離は80㎞以内が基本パッケージとなる。これをオーバーすると、1時間ごとと1㎞ごとでそれぞれ追加料金が発生する。ホテルに相談すると、ホテルが提携しているタクシー会社への手配をしてくれ、料金も一時的に立て替えてから乗客でもある宿泊客へホテルが料金請求する。このあたりはいろいろと何か企んでいる(要するにボッたくる)ようだが、とくにひどくなかったので目くじらをたてることはしなかった。

 車種はスズキ・スイフトの4メーターセダン(全長が4メートル以内)が多いように見えた。

 ノイダまでは丁度タクシー料金に追加が発生するぐらいなので50㎞弱。高速道路を使うのだが、渋滞のない早朝なら1時間弱、夕方では1時間半ぐらいかかることもあった。

 もちろんインドでも高速道路をカッ飛ばすクルマはあるが、全体は時速80㎞ぐらいで走っているクルマが多い。それはなぜかというと、インドらしいハプニングが連続するからなのである。

 ショーへ向かう最後は「グレーター・ノイダ・エキスプレスウエイ」というたいそうな名前のついた高速道路を使って会場に向かうのだが、高速道路なのにトゥクトゥクのような三輪タクシーや荷車、自転車が走るのは当たり前。側道を歩行者が歩いているのも珍しくない(2年前はいまほど開発が進んでいなかったので牛車も歩いていたような記憶もある)。

 そして極めつけは高速道路を横断する地元民が多数いること! 片側3車線の高速道路なので、歩行者用に高架橋をかければいいのにほとんど存在しない。もともとは農村地区を振興開発地域にして、なおかつ高速道路で分断してしまったのだから、地元民も高速道路を横断するしかない。この状況下では自ずと速度レンジが低くなるのも納得である。

 日本でも問題になっているが、高齢ドライバーに関係なく出口から逆走して高速へ進入してきたり、出口を行き過ぎてバックすることなどは日常茶飯事。

 さらに高速道路とはいえ舗装状況は最悪。調子に乗って飛ばしていれば、どこかにクルマが飛んで行ってしまうようなコンディションである。なぜか高速道路なのにバンピング(デリー市内全域で結構きついのがあるが、高速道路のは軽め)もあるというから、トラップは数知れず状態である。

 渋滞になると、中国でも同じだが3車線しかないのに横に5台クルマが並んでいるのも当たり前。インターチェンジの合流でも譲り合い精神は皆無なので、ひたすら大渋滞が発生している。ちなみにデリー市内では信号がまともに作動しているほうが珍しいとのこと。タクシードライバーいわく、「それがデリーさ」と軽くいわれてしまった。

 このような道路環境では、かっこいいスポーツクーペで颯爽とドライブなどということはまず不可能。実用コンパクトカー(税制優遇もあるが)や、SUV、ミニバンばかりが街中に溢れるのも十分理解できる。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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