トラック・バスのホイールにナットの数が多い理由とは

JIS(日本工業規格)やISO(国際標準化機構)定められている

 乗用車のホイールは4穴もしく5穴というのが一般的だが、トラックの場合は6穴、8穴、10穴といろいろあり、穴の数が圧倒的に多い。穴の数はハブボルトの数に比例して、支えられる荷重が増えるので、たくさんの荷物を運搬する大型車は、必然的にハブボルトの数も増えるというわけ。

 そのハブボルトの数は、トラックメーカーが独自に制定しているわけではなく、JIS(日本工業規格)やISO(国際標準化機構)定められている。ちなみに2003~2004年に大型車の車輪脱落事故が頻発し社会問題となった影響もあり、2010年以降は車両総重量がおおよそ12トン以上の大型車のホイール規格は、国際規格である「新・ISO方式」に切り替わっている。

 このISO方式は、 世界中の大型トラック・バスの95%に採用されている国際標準のホイール取付け方式。それ以前の日本は(残りの5%)国際的にみればかなり少数派の、JIS方式を採用していた……。現行「新・ISO方式」では、22.5インチのホイールのボルト本数は10本、19.5インチのホイールのボルト本数は8本と決まっていて、ホイールナットの形状もJIS方式が球面座だったのに対し、「新・ISO方式」では、平面座に変更された。(PCDやホイールナットの締め付けトルクなども、きちんと指定されている)

 というわけで、トラックのハブボルトが多い理由は、強度の問題と国際規格によるもの。ただし、トラックなどのハブボルト折損事故の原因は、国土交通省の調査でも点検・整備の不十分によるものが大半とのこと。

 とくにトラック業界では、「ホイールナットは強く締めたほうが安全」といった認識で、規定トルク以上のオーバートルクで締めていたり、反対にほとんどノーメンテで走っていたりと、整備に関する意識の低さが問題に……。

 締め付けトルクを守ること。定期的にトルクレンチでトルクチェックをすること(増し締めは×)、そして月に一度の空気圧の調整は、大型車に限らず、普通車でも基本中の基本なので、点検・整備をおろそかにしないよう気をつけよう。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

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