スーパーカーは実用的に使えるか? 610馬力のアウディR8を一般道でチェック(動画あり)

ドライブセレクトが多く非常に乗りやすい

 アウディR8に久しぶりに乗った。アウディのスーパースポーツは気分爽快、優雅でリッチな走りを楽しめる。今回のクルマはハイパワーモデル610馬力のV10プラスだから、お値段は約3000万円。2370万円のNSXよりお高いV10エンジン搭載のスーパーカーである。コンポーネントを共有する兄弟車がランボルギ
ーニのウラカンと言ったほうがわかりやすいか? いずれにしても、誰しもどんな走りをするのか気になるところ。アウディR8

 このAudi R8 Coupe V10 plus 5.2 FSI quattroは2016 年に登場しているが、ホンダが昨年NSXを発表したことで、何かと比較したくなるクルマだ。限界まで性能を引き出すにはドライビング・テクニックとサーキットが必要だし、レポートもいろいろあるからそのあたりはサーキット試乗記に任せるとして、今回は「街乗りはどうか」というところを探ってみた。買えるか、買えないかは別として、R8でコンビニに行けるの? なんてつい気になる。

 結論から言って「コンビニの買い物も何も問題ない」であるが、荷物のスペースがフロントの小さめのトランクと、フロントシートの後ろにあるスペースだけだということ忘れないでおかないと、困ることになる。もうひとつ注意したいのはNSXでも同じだが、地上高が低いこと。ボディ下面のクリアランスが狭いから、高めのクルマ止めは用心深く動くこと。おなかをゴリッとやってしまいがちだ。このあたりは、車高を落としたスポーツモデルに乗った人ならわかっていることだろうが。

アウディR8

 一般路でアクセルをグンと踏むことはないだろうが、やさしくアクセルを開け、やさしくブレーキを踏み、やさしくハンドルを切ってやると、なにも起きない。じつに乗り心地もやさしい「普通のクルマの動き」に近い。思わず笑いそうになるのが、停止するとエンジンがポンと止まること。そう、この現代のスーパーカーは「アイドリングストップ」がついているのだ。ま、これで燃費代が安くなる、とオーナーが気にかけるわけじゃないが、排ガス、騒音対策としては現代の常識ということか。

 街中を流していても、昔のスーパースポーツのような荒々しい雰囲気はない。コンフォート・ポジションを選んで走ると、実にジェントルな動き、走りである。トラックモードにしていったん牙をむくと、0-100㎞/hが3.2秒、最高速が330㎞/hというとんでもないスペックの主に変貌する。そのためにタイヤはフロントが245/30ZR20、リヤは極太の305/30ZR20を履く。その割にコンフォート・ポジションでは、気になるほどの乗り心地の低下はない。ブレーキはカーボンセラミックである。こうしたクルマのブレーキ性能は極めて大事だ。アウディR8

 ミッションは7速だから、8速もあるスポーツカー軍団にあってはコンサバだ。自然吸気(NA)のV10サウンドを引き出すには「スポーツ・エキゾーストボタン」が付いている。いったんサイレンサーを解き放ってやると、あのしびれるようなV10スポーツサウンドが響きわたる。

 世の中はダウンサイジング、ハイブリッド化で、5.2リッターのV10はそろそろ過去のものになりつつあるが、クルマ好きがR8に乗ると「いつか乗りたいから、V10を残して」と叫びたくなる。夢のある現代版スーパースポーツに拍手を送りたい。


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