単に燃費が向上するだけじゃない! エコタイヤがエコたる3つの理由

転がり抵抗低減以外にも各メーカー「エコ化」を実施している

 ここ10年近く、タイヤ業界はグリップに代表されるスポーツ性能へのウエイトが減りつつあることもあり、エコタイヤと呼ばれる環境性能を重視したタイヤが主力となっている。では「エコタイヤは何がエコなのか?」を改めて考えてみると、大きく分けると3つのアプローチがある。

 1つはテレビCMや印刷物の広告などでもお馴染みの低燃費タイヤである。タイヤはタイヤと路面が接することによって発生する摩擦がグリップとなって路面を掴んでいる訳でだが、この摩擦は抵抗でもあり、転がり抵抗と呼ばれる。この転がり抵抗が大きいと、大きな力を加えないとクルマが進まない=燃費の悪化となる。身近なところでたとえればタイヤの空気圧不足の自転車とタイヤに空気をたくさん入れた自転車の漕ぎやすさのような違いだ。

 ここ10年ほど燃費への関心が高まっていることもあり、転がり抵抗の低減は新車装着タイヤ、交換時に使うリプレイスタイヤともに重要な要素となっている。しかし転がり抵抗の低減とグリップは一般的には見事に相反する性能だった。そのため以前は「エコタイヤはウエットを含めグリップが低い、ハンドリングが悪い」と言われていた時期もあった。

 だがそのエコタイヤもコンパウンドと呼ばれる表面のゴムやコンストラクションと呼ばれる内部構造の技術の進化などにより、転がり抵抗の低減とそれ以外の性能の両立が可能となっており、だからこそ現在はタイヤのラインアップの主力商品となっている。

 転がり抵抗の低減と燃費の向上の関係は、一般的に「転がり抵抗の低減分の7分の1、燃費が向上する」と言われている。そのため「転がり抵抗20%低減」と表記してあると、燃費は約3%向上する。3%の燃費の向上というとリッター20km走るクルマで0.6km/Lの向上なので、分かりにくいのは事実かもしれない。だがチリも積もれば山になるため、走行距離の多い人や長期的に見れば、効果や進化を実感できるだろう。

 2つ目は長寿命化だ。長寿命化の中にも2つあり、1つは耐摩耗性や耐偏摩耗性という、簡単に言えば減りにくさが挙げられる。もう1つはタイヤは生ものに近いところもあり、減りや経年劣化による性能低下を抑えるというものだ。長寿命化もコンパウンドやコンストラクションの進化に加え、ショルダー(角、肩)やパターン(表面の模様)の形状見直しなどによって行われている。

 3つ目は製造の際の省資源化、石油由来材料の使用の低減である。「ゴムでできている」と思いがちなタイヤは、それも間違いではないが、実際には天然ゴムだけでなく石油由来の合成ゴムや合成繊維、天然ゴムやコンパウンドに混ぜられるシリカなど、たくさんの資源から作られており、タイヤを重量で見れば、その約半分は石油由来の資源だ。

 といった事情もあり、一例としてダンロップのエナセーブ100というタイヤを例に挙げると、このタイヤは材料の改良や開発により100%石油外天然資源から造られており、有限と言われている石油の使用の低減に貢献している。

 このようにエコタイヤと一口にいってもいろいろなアプローチがある。それだけにタイヤを使うユーザーも、減っていないからと言ってあまりに古いタイヤを使い続けるのは問題だが、空気圧をマメに確認する、乱暴な運転をしない、前後ローテンションを行うなどして、お財布にも優しいようタイヤも大切に使いたいものだ。


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