日本中で猫も杓子も同じ車種! 一大ブームを巻き起こしたクルマ5選

車種どころか色まで同じクルマが街に溢れた例も

 最近ではにわかには信じられないかもしれないが、クルマにも大ヒットしてブームになるということがあった。

 最近ではプリウスがヒットなのかもしれないが、昔のブームはさらにその上をいっていたのは確か。街を歩けば同じクルマをいっぱい見かけるなんていうのかがざらだったし、購入の際も「街で見かけるあのクルマが欲しい」とか「お隣さんと同じのにしよう」ということも多く、さらに増殖に拍車をかけたものだ。

 ちなみに街で最近見かけるなぁ、というのは3万台売れるとなると言われたりする。あまり売れないクルマだと、けっこうなハードルだ。今回は過去に大ブームになったクルマに注目してみよう。

1)マツダ・ファミリア(赤いファミリア)

 FFになった初のファミリアで、5代目として登場したのは1980年のこと。時代はまさにサーファーブームで、なぜか赤いファミリアはサーファーの足として愛用され、さらになんちゃってサーファー、つまり陸サーファーの足としても人気を博した。

 またその余波は一般人にも及び、FFという先進技術と2ボックスという新しい形もあって、赤以外も売れに売れた。初代日本カー・オブ・ザ・イヤーのイヤーカーにも輝いている。

2)フォード・フェスティバキャンバストップ

 日本フォードが販売していたのが1986年に登場したフェスティバ。日本フォードといえば、マツダとの関係が深かったが、フェスティバはファミリアの下で、今でというところのデミオのルーツともなるクルマだった。(写真はノーマルトップ)

 ブリスターフェンダーなどで存在感はあったが、大ヒットとなったのはキャンバストップだ。女の子の足として大いに愛され、大量発生。スターレットなどでもキャンバストップが用意されたほどだった。

3)日産シーマ

 誰でも買えるわけではなかったので、街のあちこちで常に見るというわけではなかったが、1988年というバブルの最高潮期に登場しただけに、よく見かけたし、サルーンとしては大ヒットだった。

 ちなみに4年間の販売台数はなんと約13万台とお化け級の売れっぷりである。リヤを沈み込ませてフル加速する様は大いに目立ち、シーマ現象なる言葉も生まれた。

4)日産シルビアとホンダ・プレリュード

 今や死語だが、デートカーとして真っ向勝負。というか、どっちも売れまくったのが凄い。

 シルビアはS13で1988年に登場。ブレリュードは3代目(2代目もいた)で、1年先の1987年に登場したのだが、大げさでなくて、街じゅうを2台が走りまくっている感じ。

 もちろんデートカーなので、女子大生を乗せたサマーセーターを肩にかけた大学生が運転していたものだ。販売台数も驚異的で、3代目プレリュードは約64万台。シルビアは約30万台で、軍配はプレリュードと言いたいところだが、実質はどっちも大勝利だろう。

5)初代スバル・レガシィツーリングワゴン

 1989年に登場した初代レガシィのツーリングワゴンは、日本初の乗用ワゴン専用設計で誕生したクルマ。それまではバンを乗用に仕立ててワゴンと呼ぶモデルばかりだった。そしてRVブームの勃興などもあり、大いに売れたのだ。

 なにせ、倒産もしくはどこかのメーカーに吸収されるかとまで言われていた富士重工を立て直したぐらいの売れっぷりだった。ちなみに筆者は当時、ワゴン専門誌に在籍していたが、富士重工の広報部に顔を出すと部長が、今月号はレガシィが何ページ載っているのか楽しみ楽しみ、なんて言いいながら、付せんを付けていたのを覚えている。もちろん付せんだらけで、凄いことになったものだ。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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レストア、鉄道模型(9mmナロー)、パンクロック観賞
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