日本では不人気も……いまリヤワイパー付きのセダンの下取り価格が高い理由とは

海外の中古車人気にも左右される日本の下取り価格

 自分の愛車をディーラーでの下取り査定や買い取り店へ持ち込んで査定を受けたら、想定外に高い金額が出てきて驚いたひともいることだろう。このようなことが起きるのは、もちろん当該車両が中古車市場で人気が高いことが要因となる。

 しかしその中古車市場とは日本ではなく、ロシアや東南アジアなどの海外の中古車市場となる。そう、海外へ中古車を出荷するバイヤーの間で人気が高いということが査定額アップに影響しているのである。

 海外バイヤーに人気が高いことではSUVが有名。トヨタRAV4やヴァンガード、日産エクストレイルにホンダCR-Vなどがとくに人気が高いモデルの一例として挙げられる。人気車は輸出先の国や地域で結構ことなってくるのである。

 少々昔になるが、ドバイに出張した際に、日本で中古車輸出ビジネスをしていたことのある現地人と親しくなり、政府が運営する正規の市場とは異なる、アルカイダなども買い付けに訪れるという、砂漠の真ん中にある怪しい中古車マーケットに連れて行ってもらったことがある。

 そこには日本中から集められた中古車で埋め尽くされていた。その一画にクラウンやマークⅡなどが砂ぼこりを被って置いてあった。聞くところでは、イラク人はとくに6気筒車が好きでイラク向けに仕入れたのだが、イラク戦争などの混乱でバイヤーもこず、売れ残っていると話してくれた。

 またある一画には、某輸入車販売大手のステッカーが貼ってある、左ハンドルのメルセデス・ベンツやGM(ゼネラルモーターズ)車が置いてあった。知り合いによると、「このステッカーが貼ってあるベンツやシボレーは世界で一番状態がいい」と語ってくれた。このステッカーが貼ってある車両は、この販売店で手厚いメンテナンスを受けていることを彼らは承知していたのである。

 中東だけでなく、オセアニアや東南アジア、ロシア、モンゴルなどなど、さまざまな地域へ日本の中古車は輸出されている。日本以外で左側通行の地域での右ハンドル車の場合は、日本での日本車と異なり、ウインカーの位置が逆なのが一般的だが、オセアニアでは日本からの日本仕様の日本車の中古車が多く流通していおり、地元の人は日本からの日本車のレバー位置で慣れているので、左側通行となるオセアニア向けモデルは日本車と同じウインカーレバーの位置にしているという海外ブランドもあると聞いたことがある。

 輸出先はおもに新興国となるので、現地でのクルマに対するトレンドの変化スピードも速く、どんな仕様が高値で売れるかというものの変動も激しい。そのなか、いま査定額や買い取り額アップに効果的とされているのが、セダンタイプでリヤワイパーがついている車両となっている。もともと東南アジアなど新興国ではセダンの人気は高いが、リヤワイパーがついていれば海外バイヤーの食いつきはかなり異なってくるとのこと。

 以前プレミオを扱う某地区のトヨペット店を訪れた際、セールスマンから仲間内で人気が高いのは、プレミオの1500㏄車で、ボディカラーやオプション内容が決まったものが多いと話してくれた。さらに聞くと、海外バイヤーに人気の高い“鉄板仕様”であることも話してくれた。

 セダンでリヤワイパー付きのものが人気のある背景は、輸出先の道路環境が悪く、おそらく雨天時などでの泥はねが激しくリヤワイパーがとても便利な装備だと感じているのではないかと複数の関係者が語ってくれた。

 ちなみにカローラ・アクシオでのリヤワイパーのメーカーオプション価格は1万5120円となっている。いま購入して売却するころまで、リヤワイパー人気が続いているのかは、はっきりしないが、価格も手ごろなので気になる人は装着を考えてもいいかもしれない。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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2019年式トヨタ・カローラ セダン S
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渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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