「信頼できるSUVに新しい価値を加えたい」スバル新型フォレスターの開発エンジニアにインタビュー (1/3ページ)

歴代の価値をしっかり守りながら、新たな価値を創造

 1997年に初代がデビューし、今ではスバルのグローバル最量販モデルにまで成長したフォレスター。その第5世代となる新型がいよいよ正式デビュー。今回のフルモデルチェンジで開発責任者を務めた布目智之さんは、開発がスタートしたときのことを次のように振り返ってくれた。

「どこにでも行ける、どんな場所でも使える。そういった信頼感はSUVにとってとても大切な価値であり、フォレスターはその価値を世界中のお客さまから高く評価していただいたクルマです。新型でもそこは絶対に変えるべきではないと考えました。信頼できるSUVという価値をしっかりと守って進化させながら、そこに新たな価値を加えたい。では、その価値とはなんだろう。それが今回のモデルチェンジのスタート地点になりました」

 世界各国をまわって、SUVユーザーの声を聞かせてもらうなど、新たに加えるべき価値の模索のためのさまざまな取り組みを行った開発チーム。その結果、加えるべきふたつの価値が導き出されたという。

「運転している自分は満足しているけれど、一緒に乗っている家族や仲間のための快適性も大切にしたい。そんなお客さまの声にしっかり応えることがひとつ目の価値。もうひとつは、冒険心を持っているけれどどこかで躊躇している人に、あとひと押しをしてあげられるようなクルマであること。このふたつの価値とひも付けできるパッケージングやデザイン、装備を実現し、それを一台のクルマとしてまとめあげること。それが新型フォレスターの目指したものなんです」

 布目さんは、ふたつのこの価値を、「情緒的価値」という言葉で表現する。だが、情緒的価値のあるデザインと聞くと、なんとなく違和感を覚えてしまう人がいるのではないだろうか。とくに昔からスバルに強い愛情を抱いているファンならなおさらかもしれない。デザインに注力するより、むしろ質実剛健さに特化してそれをさらに磨いてほしい。そんなスバルファンの声が聞こえてきそうな気がするが、布目さんの右腕としてプロジェクトを牽引した只木克郎さんは、次のように否定する。

「情緒的価値と言っても、飾り立てるとか、着飾るといった意味ではないんです。見た目をよくするために中身を犠牲にするといったことは一切やっていません。機能をカタチにするというスバルのこだわりはこれまでとまったく同じです。その前提のうえで、クルマに乗る前からなにかができそうだというワクワク感を感じられる、そんなデザインを目指したんです」


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