トヨタ・カローラスポーツ登場で激戦のCセグハッチ、「アクセラ」「インプレッサ」の3車で買いはどれ?

走りならアクセラ、実用性ならインプレッサだが……

 2018年6月26日に、トヨタ・カローラスポーツが発売された。実質的にトヨタ・オーリスの後継車種だが、プラットフォームはプリウスやC-HRと同じでTNGAの考え方に基づいて開発された。走行性能と乗り心地を刷新させている。コネクティッド(通信機能)を充実させて注目度が高い。

 そしてカローラスポーツのライバル車には、Cセグメント(ミドルサイズ)のハッチバックに属するスバル・インプレッサスポーツ、マツダ・アクセラスポーツが挙げられる。

Cセグハッチバック

 各車の特徴を挙げると、インプレッサスポーツは実用性が高い。後席は3車の中でもっとも広く、乗員の膝前空間はLサイズセダン並みだから、3〜4名で乗車しても快適だ。また視界も良い。先代型に比べると斜め後方が見にくくなったが、ライバル2車に比べると、依然としてインプレッサスポーツの視界がもっとも優れる。
Cセグハッチバック

 乗り心地は適度に柔軟で、操舵感は穏やかだ。運転感覚から居住空間まで、リラックスできる雰囲気に仕上げた。夫婦で運転して、後席に子供を同乗させるファミリー指向も強い。
Cセグハッチバック

 アクセラスポーツは、今のマツダの考え方を反映させて、スポーティ感覚を強調する。峠道ではボディを内側に向けやすく、カーブを曲がっているときは旋回軌跡を拡大させにくい。後席は狭めで後方視界も不満だが、魂動デザインによる外観のカッコ良さに特徴がある。
Cセグハッチバック

 エンジンは1.5リッターと2.2リッターという2種類のクリーンディーゼルターボを設定して、運転を楽しみたいクルマ好きに適する。インプレッサスポーツとは対称的で、ファミリーカーの雰囲気は希薄だ。
Cセグハッチバック

 カローラスポーツは、両車の中間的な印象を受ける。操舵感とカーブを曲がるときの挙動は、軽快なインプレッサスポーツと、重厚感を伴ったアクセラスポーツの持ち味を兼ね備える。そして新しいプラットフォームにより、操舵に対する反応の仕方が正確だ。小さな舵角から車両の向きを変えやすく、走りが上質に感じる。

 操舵感の順番は、1位がカローラスポーツ、2位がインプレッサスポーツ、3位がアクセラスポーツで、プラットフォームの新しさに準じる。
Cセグハッチバック

 ただしカローラスポーツは選択の決め手に欠ける。後席の居住性や運転のしやすさはインプレッサスポーツが勝り、走りの楽しさを盛り上げる演出は、アクセラスポーツが濃厚だ。カローラスポーツはハイブリッドの設定が特徴ともいえるが(アクセラでハイブリッドを選べるのはセダンのみ)、今では個性にはなり得ない。そうなるとカローラスポーツの主な魅力は、上質な操舵感とコネクティッドだ。

 コネクティッドのコンテンツは今後充実していくが、緊急時に救援要請が可能なヘルプネットは、安全装備として注目される。車載設備によるヘルプネットサービスは、スバルやマツダも行うが、カローラスポーツではエアバッグと連動させた。ドライバーが意識不明に陥ったときなど、事故時の自動対応を充実させている。
Cセグハッチバック

 このように各車の特徴は一長一短だが、アクセラスポーツは発売から4年以上を経過して、設計の古さを感じる。そうなると推奨したいのは、インプレッサスポーツとカローラスポーツだ。

 価格はカローラスポーツG・Zが241万9200円、インプレッサスポーツ2.0i-Sアイサイトは239万7600円(両車ともに2WD)で、ほぼ同額になる。幅広いユーザーに適するのは、実用性が優れ、クルマ全体の雰囲気が明るいインプレッサスポーツだ。これがベストチョイスだが、車両と一体になるようなスポーティな運転感覚を重視するユーザーは、カローラスポーツと相性が良いだろう。
Cセグハッチバック


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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