クルマゆかりのアンティーク腕時計の価格が高騰しているワケ

ポール・ニューマン愛用のデイトナが20億円で落札!

 往年のハリウッドスター、ポール・ニューマンゆかりのヴィンテージ、と聞いてまず思い出すのは6代目スカイラインだろう。物語が豊富な歴代スカイラインにあって、いまでもニューマン・スカイラインのファンも少なくない。

 もうひとつ「彼ゆかりのヴィンテージは?」といえばズバリ、腕時計。1969年の映画「レーサー(原題:ウイニング)」では、インディ500のレーシングドライバーとして堂々、主役を演じる。撮影にあたりかなりのトレーニングをつんだという。

※1969年CARトップ5月号より

 これがきっかけとなり以後、プライベートでもデイトナやル・マンなどに出場、プロドライバーに混じって好成績を残している。その後もレーシングチームのオーナーになったり、また80年代に日産スカイラインのCMに出演するなど、クルマとのかかわりはとても深いスターといっていいだろう。

 そんな彼が愛用していた腕時計がロレックスのコスモグラフ・デイトナだった。またそれがきっかけとなり、以後、愛用していたデイトナと同じデザインのモデルは「ポール・ニューマン」の愛称で呼ばれるようになる。そして、すでに発売から40年以上を経てすっかりヴィンテージとなったニューマンモデルだが、いまでは「超」がつくほどのプレミアムがついているのをご存じだろうか。

 アンティークウオッチの世界ではデイトナ自体、ロレックスな中でもダントツの人気を誇る。とくに1960〜70年代の手巻きデイトナは、海外オークションで600〜1000万円が相場。それに対して同じデイトナでもポール・ニューマンタイプは1500万円以上。とりわけレアな仕様なら数千万円はざらである。

 昨年10月に行われたフィリップスのオークションに、ポール・ニューマン自身が愛用していたデイトナが出品され、約20億円で落札されて世界中を驚かせた。それと同時にデイトナのポール・ニューマンタイプの市場価値をさらに押し上げてしまったのだ。

 しかし、いまなぜそこまで落札価格が高騰するのだろう。

「クルマ好きは時計好き」なんて言葉をよく耳にする。その理由は、実用性と趣味性を兼ね備えていることやメカニカルな部分、ステイタス性などなど、クルマと時計にいくつもの共通項があるからだろう。

 じつはこの二つ、モータリゼーションが進んだ1930年代にはすでに、ドライバーが運転中に時刻を確認しやすいよう工夫された腕時計(通称ドライバーズウオッチ)が製造されるなど、その関係性は古い。また、スポーツカーレースが世界的なブームとなった1950年代以降は、いっそうクルマと時計の関係性は深くなる。

 当時、多くのレース観覧者がタイムを計測するためにクロノグラフ付きの腕時計を求めたためである。その人気ぶりは、ウオッチデザインにも影響を与え、60年代に入ると、今日絶対的な人気を誇るロレックスやデイトナやタグ・ホイヤーのカレラといった傑作も次々と誕生。時速を計測するためのタキメータースケールを備えた、今日のクロノグラフウオッチの基本スタイルが確立されたという歴史がある。そもそもモータースポーツと腕時計は切っても切れない縁なのだ。

 いま、世界は過去にないほどのカネあまりの時代だといわれる。ロレックスはハンドメイドという特性上、売れるからといって商品の数量を大きく増やせない。あるいは増やさない。このあたりはフェラーリやポルシェが生産台数をむやみに増やさないのと似ている(一部の車種は別だが)。

 となると、もともと品質が高くブランドがしっかり確立している一部の腕時計ブランドは強い。過去に発売したヴィンテージ(アンティーク)もその希少性から高騰しがちだ。

 世界で誰もが知るハリウッドスターの名を冠したブランドウオッチ。ましてモータースポーツの香りただようモデルともなればその人気は鉄板だ。今後はロレックスだけでなく、さまざまなストーリー性ある腕時計が注目されていくだろう。ストーリー性とブランド、そんな価値を併せ持つクルマや腕時計のヴィンテージ(アンティーク)から目が離せない。

 そんな稀少なアンティーク腕時計の販売イベント「LowBEATアンティーク時計フェア in 銀座」が、来たる8月4日(土)・5日(日)の2日間、東京・銀座で開催される。イベントには国内の有名アンティーク時計店など25社以上が出店するため、1950〜60年代当時のスポーツクロノグラグウオッチといった希少モデルはもちろん、様々なアンティークウオッチと出合えるまたとない機会だ。

 【詳しくはこちら】

http://powerwatch.jp/conts.php?svrid=CFS&sname=Wordpress&orgid=3324&cid=20


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