もっと評価されるべき! 伝統の車名でも「不人気」なスポーツモデルたち (1/2ページ)

スポーティさが薄れたことでファンが離れてしまった……

 いつもの話で恐縮だが、モノの価値にはざっくり「使用価値」と「交換価値」の二種類がある。クルマの場合、機械としてよくできていて、性能がよければ「使用価値」が高い。一方、「交換価値」はモノの出来不出来に関わらず、いわゆる人気に左右される。とくに中古車相場は「交換価値」だけで決まるといって過言ではない。そうした中古車相場を眺めていると、もっと評価が高くてもいいのに……と思うクルマがいくつかある。今回は、その代表的な2台をピックアップしてみよう。

1)トヨタ・セリカ(T230系)

 簡単にいうとセリカシリーズ最後のモデルで、7代目のこと。セリカは元祖スペシャリティカーで、初代は有名なダルマセリカ。レースやラリーでも活躍し、とくに4代目(T160)、5代目(T180)、6代目(T200)のセリカは、WRCでターボ+4WDが全盛期のグループAで大活躍。F1のルノーチームのドライバー、カルロス・サインツJrの実父、カルロス・サインツがこのセリカで国産車初の、ラリーの世界チャンピオンに輝いている。

 ところが、7代目セリカ=T230ではそれまでのセリカに対し、大きく路線変更。ボディはダウンサイジング。エンジンは先代までの2リッターターボから、NA1.8リッターの2ZZと1ZZのみとなり、象徴ともいえるターボと4WDは姿を消して、なんとなく牙を抜かれた印象に……。

 しかし、車体はなかなかよくできていて、FF専用シャシーにもかかわらず、リヤサスにはバイザッハアクスル式ダブルウイッシュボーンを採用。

 T230セリカがデビューした1999年には、ホンダにインテグラタイプR(DC2)という、1.8リッター200馬力の人気、実力ともにクラス最強のモデルがあったので、どうしてもT230の影は薄かった。

 しかし、2ZZエンジンならインテRの200馬力には及ばなくても190馬力の大パワーがあり、トヨタ版のVTECともいえる連続可変バルブタイミングリフト機構VVTL-iが備わっていたので、ドライバビリティにも優れていた。

 ボディデザインは、アメリカにあるトヨタのデザインスタジオ「CALTY」が担当した、ガンダムチックな意欲作で、いま見てもなかなかシャープで新鮮な顔つきをしているのだが人気は低迷。2006年に生産中止となり、最後のセリカになってしまった。

 しかし、前記のようにいいエンジン、1100kgの軽量ボディ、そして6速MTに優れたシャシーを持っていて、ハンドリングはかなり良好。このクラスのライトウエイトスポーツとして、立派なパフォーマンスは持っていた。

 ただ残念なことに、トヨタは1995年でワークスとしてはWRCから撤退。先代までがラリーのイメージが強かっただけに、4WDでもターボでもないT230のイメージはどうしても弱い。レースでもスーパーGTのGT300クラスに出場していたが、中身はGT500のFRスープラがベースで……モータースポーツのイメージが上手く構築できなかったせいか、スポーツカーファンの支持が弱く、アフターパーツも乏しかった。その余波のおかげで、中古車相場の平均価格は48万円前後と50万円を切るところに!

 トヨタファンや、ライトでよく走るFFスポーツを探している人は、ずばり狙い目の一台だと思うのだがどうだろう?


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
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