オシャレで明るく安全で長寿命なLEDヘッドライトがもつ意外なマイナス面とは

発熱量が少ないことが意外な弊害を生む

 LEDヘッドライトが増えている。登場したころは消費電力の小ささがアピールポイントだったが、いまでは意匠・機能の両面でデザイン自由度が高いことが評価され、LEDヘッドライトを前提としたクルマも多くなっている。意匠面では薄型にできることが特徴、機能面では対向車などを検知して照らす範囲を自在に変えるアダプティブヘッドライトは、光源となるセグメントを複数にわけるLEDの特徴が活かされたものだ。

 消費電力は燃費(電費)に影響する要素であり、意匠面での特徴はスタイリングだけでなく空力性能にも影響するもの。またきめ細かな制御が可能なアダプティブヘッドライトは安全面でメリットがある。このように、良いことづくめに思えるLEDヘッドライトだが、けっしてメリットだけではない。

 まず指摘されるのはLEDヘッドライトが明るすぎるということ。フィラメントを使った電球と比べて、照射範囲を明確にできるLEDは、照らしているところと、そうではない部分のコントラストが強く感じられるため、人間の眼には実際以上に眩しく感じることがあるようで、そうした点をネガと感じている人もいる。

 また、ミニバンやSUVなどヘッドライトの位置が高いクルマが明るすぎると信号待ちなどで前方にいるクルマに眩しいと感じさせることもある。これはLEDでなくとも起きる現象だが、指向性の強いLEDでは、そのように感じやすい傾向があるのだろう。

 もうひとつのデメリットと言われるのは消費電力の小ささから発熱量が少ないこと。ヘッドライトやテールレンズ、また信号機などをLEDにすると降雪地域においてはネガとなる。それまでは電球の熱によって溶けていた雪がそのままとなり厚く付着してしまうことがあるのだ。一年を通してみれば、冬場以外では不要となる熱を発さないわけだからエネルギー効率としては有利なのだが、雪道で信号やヘッドライトが見えづらくなるというのは事故に直結する話であり、LEDのデメリットとして対策が必要だ。クルマ側ではヘッドライトウォッシャーの装備など、信号機はデザインの工夫による対策がなされている。

 また電球に対して、長寿命というのがLEDの売り文句だが、LED素子は長寿命であっても制御系の基盤などが熱や振動で故障してしまうとユニットごとの交換が必須となる。まだまだLEDユニットは安くはなく、ローコストになることだけを考えて、電球の部分をLED化すると期待はずれになってしまう可能性もあるので、その点は心に留めておきたい。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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