スーパーカーの多い都心でも見かけない? 復活した2代目ホンダNSXは失敗作なのか

国内で400台を販売した実績は大成功と評価できる

 ホンダNSXに対する評価はさまざま、両極端といった印象がある。フロントを左右独立モーターによって駆動することで実現したスーパーハンドリングは、ライバル不在といえるオリジナリティあふれる、NSXだけのキャラクターとして高く評価される。

 しかし、後輪用も含めて3モーターハイブリッドとなったことで、1.8tもの重量になっているのは、アルミモノコックによる軽量ボディが売り文句だった初代NSXとのギャップを感じる部分。とはいえ、日本仕様のNSXはカーボンルーフを標準化することで低重心化を意識した仕様となっている。ちなみに、フロントフードやドアパネルはアルミ製、前後フェンダーはシートモールディングコンパウンド(樹脂)とするなど全身で軽量化を考慮している。

 またハイブリッドの仕組みから9速DCTだけの設定となりMTは用意されないため、古典的なスポーツカーらしい走りを味わいづらいという点から批判的な声があるのも事実だ。スタイリングについては、好みの問題もあるが、車両価格2000万円を超えるクルマとしてはインパネなどに、それほどの高級感がないという評論もある。また、ステアリングスイッチの意匠がスーパースポーツとしてはおとなしめという声を耳にすることもある。

 たしかにフェラーリやランボルギーニ、マクラーレンといったミッドシップ・スーパースポーツをライバルとして見れば、ホンダが初代NSXで謳った「エブリデイ・スーパーカー」というコンセプトを受け継いでいるためか、ライバルと比較すると刺激という部分で物足りない印象を受ける面もあるのだろう。

 とはいえ、表層的な刺激の強弱によってーそれがスーパースポーツにとって重要なことは否定しないがー、NSXを失敗作と断言してしまうのは違和感がある。前述したようにフロント左右独立モーターによるハンドリングは唯一無二であり、オンリーワンであることはスーパースポーツとしてのバリューとして重要な要素だからだ。

 そうした価値はスーパースポーツの購入層には十分に理解されている。なにしろ、日本における販売計画が100台/年であるのに対して、2年弱で400台近くがオーナーのガレージに収まったというのだ。年間200台というのは、日本市場でいえばマクラーレンと同等の規模感である。販売拠点の数が異なるので、販売台数で比較するのはアンフェアかもしれないが、単独モデルでブランド全体と同じだけのシェアを占めているのだとすれば、それは失敗ではなく、むしろ成功作というべきだろう。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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