見た目はキープも中身は別モノ! 超絶進化を果たした新型ジープ・ラングラーが登場

常時四輪駆動システムの導入により強靭なオフロード性能を獲得

 FCAジャパンは、2018年10月25日にジープブランドの注目車、新型Jeepラングラーを発表した。

 ラングラーは1941年に軍用4輪駆動車としてつくられたウィリスMBをルーツとし、1945年から生産された軍用ジープの民間モデル、シビリアンジープ(CJ)シリーズの後継として1987年に誕生。ボクシーなフォルム、7スロットグリルなどが特徴の本格オフローダーだ。

 今回の全面改良はじつに11年振りのこと。新型ラングラーは2018年11月23日より発売が開始される。

 そして2018年10月25日、抽選で選ばれた1000人のジープファンとメディアを招いた発表会が行われたのだが、コレが驚くほど盛大なもの! 現場に足を運んだWEB CARTOP編集部の乾が当日の様子をリポートしたい。

 新入社員の私には、新型車などの発表会があると「行ける限りすべて行って勉強してきなさい!」と、編集長からの指令が下る。そのため入社して約半年間、数々の発表会に足を運んできたが、ここまでインパクトのある発表会は正直初めてだった。

 お披露目の場となったのは東京ディズニーリゾート内の多目的ホール、舞浜アンフィシアター。半円形のステージとすり鉢状の客席を備えた、コンサートやミュージカルなどが行われる円形劇場だ。

 発表時間になると会場が暗転。華やかな映像とビートの効いた音楽とともにFCAジャパン代表取締役社長兼CEOのポンタス・へグストロムさんが登場。多くの来場者、そして同社社員全員がこの場に集まったことに対する敬意からスピーチがスタートした。

 続いてジープブランドの市場概況について説明。日本でのジープの車両販売台数は2009年に1027台だったのが、昨年2017年には1万91台と10年で10倍に成長。日本は北米以外でもっとも販売台数の多い市場なのだとか。また日本の販売台数のうち約4割がラングラーということで、へグストロムさんは日本を、北米を除けば「世界最大のラングラーマーケット」と称した。

 そしてついにこの日の主役、新型ラングラーが奈落からステージ上に姿を現す。そのルックスは意外なほど先代と変わらない印象だ。ラングラーのアイデンティティともいうべき丸目2灯のヘッドライトや7スロットグリルも健在である。

 これに関しては、「一見何も変わっていないように見えますが、それこそが今回の改良の狙いです。実際には大きく変わっています」とへグストロムさん。

 ではここで新型ラングラーの概要を紹介しよう。今回日本に導入されるのは、新設計の2リッターターボエンジンを搭載する4ドアの「Unlimited Sport(アンリミテッド・スポーツ)」、3.6リッターエンジン搭載の2ドア「Sport(スポーツ)」、3.6リッターエンジンを搭載する4ドアの「Unlimited Sahara Launch Edition(アンリミテッド・サハラ・ローンチエディション)」の3グレード。「Unlimited Sahara Launch Edition」は、通常ではオプション設定となるレザーシート、フロントシートヒーター、ヒーテッドステアリングホイール、革巻きシフトノブを標準装備した特別仕様車だ。

 新型は従来のパートタイム4×4に加え、ラングラー史上初となるフルタイムオンデマンド4×4システムを全車に採用。このシステムは「4H AUTO」モードを新たに備え、路面や天候状況に応じて駆動力を自動的に前後配分し、舗装路を含むあらゆる路面を安全かつ快適に走行できる。オフロードでは、「4H」または「4L」を選択するとセンターデフのロックが可能となり、強力なトラクションを発揮するのだ。

 またアプローチアングル44度、ランプブレークオーバーアングル27.8度、デパーチャーアングル37度とクラストップの悪路に対するスペックを実現。

 先に述べたようにパワートレインには、新開発の2リッター直列4気筒直噴ターボエンジンと、改良型の3.6リッターV型6気筒エンジンの2種類が設定されるが、どちらも経済的なレギュラーガソリン仕様となっている。加えてユーザーから改善の要望が多かった燃費は、従来モデル(3.6リッターエンジン)から、2リッターエンジンが53パーセント、3.6リッターエンジンでは23パーセント向上しており、お財布にも優しいモデルになったといえるだろう。

 ドアパネルやフェンダー、ウインドシールドフレームにはアルミニウム、リヤゲートの骨格部分や内側パネルにはマグネシウムを用いることで、車両重量は先代より90kgの軽量化を実現した。

 安全面では、後退時の後方確認を補助するリアバックアップカメラや、リアパークアシストを全車に標準装備。また「Unlimited Sahara Launch Edition」では、フロントパークアシストと、ブラインドスポットモニター/リアクロスパスディテクションが標準装備される。標準グレード、特別仕様車ともに、70点以上の新しい安全、セキュリティ装備が用意されたというから驚きだ!

 またヘッドライト、フォグランプ、テールランプ、デイタイムランニングライトはすべてLED化され、ラングラー史上初のLEDライト搭載モデルとなったことも注目である。

「みなさんとジープディーラーでお会いし、また運転している姿を拝見できるのを楽しみにしています。これからもみなさんの旅は続きます」とへグストロムさんは誇らしげな表情で語り、プレゼンを締めくくった。

 続いて、Jeep US デザイナーのクリス・ピシテリさんが登壇。新型ラングラーのデザインについて説明した。

 新型ラングラーには歴代モデルそれぞれの良いところを反映させているのだそう。7スロットグリルの両端にめり込んだライトと台形のフロントフェイスはCJシリーズを彷彿とさせる。インテリアではウィリスのYスポークのステアリングデザインを踏襲した。

 またピシテリさんは「オフロード走行時にはドアを外して走るのが最高なんです」と語る。もちろん日本の公道でドアを外しての走行は現実的ではないが、ラングラーはそれ以外に、ボディパネルとルーフの脱着が可能なのだ。今回のフルモデルチェンジでは、フリーダムトップの取付けメカニズムの見直しや軽量化が施され、ルーフがより外しやすくなった。さらにルーフ取り外し箇所のウェザーストリップを二重構造化し、ピラーに水抜きのドレーンパイプを組み込むなど雨漏れ防止対策も施されている。

「新型ラングラーはこれまでにないレベルの性能を持つまでに進化を遂げながら、荒々しいジープのルーツには忠実であるという究極のアドベンチャービークルとなっています」とピシテリさんは胸を張って語った。

あの世界的アーティスト坂本龍一も祝福! 豪華ゲストが続々登場

 続いてピシテリさんに“友達”と紹介され、ステージに上がったのは、ニューヨークを中心に活動する日本人絵画アーティストのDRAGON76さん。昔からジープ、中でもラングラーが好きだと言い、「ラングラーの新しいものと古いものがミックスしているところが自分のクリエイティブと共通していると思います」とコメントした。

 DRAGON76さんは今回の発表会でオリジナルの絵画を披露。ジープの持つ4つの要素「本物」、「情熱」、「自由」、「冒険」をテーマに描いたそうだ。この絵はピシテリさんをはじめとするジープのデザインチームに贈られた。ピシテリさんは「ジープブランドとラングラーのスピリットが体現されていて素晴らしいです」と喜び、2人は熱い握手を交わした。

 次に行われたのは「戦場のメリークリスマス」や「ラストエンペラー」の楽曲などで知られる世界的ミュージシャンの坂本龍一さんと、坂本さんと長年親交があるという「WIRED」日本版元編集長の若林 恵さんを迎えてのトークショーだ。テーマはジープのコンセプトの1つでもある「自由」。

「音楽には文章を書くときに起承転結や文法があるのと同じように、ルールがあります。そういったものに従って作ることもできますが、それにはもう飽きてしまいました」と語る坂本さん。2人のトークはその他にも自由な生き様や音楽活動についての話題が繰り広げられ、じつに贅沢な時間だった。

 そして発表会の最後を締めくくるのは、ルツ・ウィリアムさん率いる合唱団によるゴスペルの歌唱。自身もジープオーナーだというルツさんがこの日歌ったのは、彼女がジープの「自由」を表現し、作詞作曲したオリジナル曲だ。約100名で行われたゴスペルライブは、この発表会を締めくくるにふさわしい圧巻のパフォーマンスだった。

 華々しくデビューを飾った新型Jeepラングラー。発表会で披露された音楽やアート作品は、クルマとは関係がないようにも思えるが、不思議とラングラーの目指すところやジープの世界観が十分に伝わってきた。見た目は先代を継承しつつも大きな進化を遂げたラングラー。WEB CARTOPでは今後試乗記などをお届けしていくので、ぜひ注目してほしい。


乾ひかり INUI HIKARI

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