なぜ日本じゃない? 日本車なのにアメリカで伝統の車種を復活発表する理由とは

日本もだが北米ではより伝統の車名として認識されている

2018年、ホンダがハイブリッドカー「インサイト」を復活させた。日本での発表・発売は2018年内とアナウンスされているが、すでに北米ではローンチ済み。また、トヨタは世界中でティザー的にチラ見せさせてきた「スープラ」を2019年始のデトロイトオートショーにて世界初披露させることを発表している。いずれも、発表・発売の仕方から想像できるように北米市場をメインターゲットに、そこから世界へ向けて展開していくモデルだ。

 それにしても、こうしたグローバルモデルにおいて、伝統の名前を使い、復活をアピールする必要はあるのだろうか? 答えは“Yes”だ。

 まず、インサイトについて。日本市場的にはトヨタ・プリウスに遅れて発売されたホンダ初のハイブリッドカーという印象があるかもしれないが、じつは北米市場ではプリウスより先に発売されていた。つまり、彼の地においては初の量産ハイブリッドカーという位置づけである。

 また2シーターで空力にこだわったアルミボディというメカニズムのインパクトはもちろん、EPA(米国環境保護庁)の測定による最優秀燃費モデルとして2015年まで歴代トップの座を守っていた。まさしくレジェンドカーとして、その車名は伝説となっている。ハイブリッドカーとして復活させる価値のある名前なのだ。

 17年ぶりに復活する「スープラ」も同様。日本ではグループAレースで活躍したA70型スープラ、史上最強のポテンシャルを持つ3.0リッター「2JZ-GTE」エンジンを積んだA80型スープラの2世代しか歴史はなく、それ以前は「セリカXX」とネーミングされていた。

 しかし、北米では“XX”という言葉の問題もあって1978年に誕生したA40型からスープラという名前が付けられていた。つまり北米こそ、スープラを復活させるにふさわしい土地といえる。またレーシング仕様のプロトタイプではゼッケン90をボディサイドにまとうなど、伝統を受け継いで「A90」という型式を使用することも間違いないだろう。

 なお、先代モデルであるA80型スープラもワールドプレミアを飾ったのはデトロイトオートショーだった。四半世紀以上を経て、同じくデトロイトに姿を現すスープラを、北米市場はどのように歓迎するのだろうか。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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