レクサスESが世界初採用したデジタルアウターミラーの効果を公道試乗でチェック!(動画あり)

広角・狭角の映像調整も任意に可能で死角を減らした

 レクサスESの国内向けに量産車として初の「デジタルアウターミラー」が設定され、話題となった。今回、短い時間だが噂のデジタルアウターミラーを試すことができた。

 10月24日に日本で初披露されたレクサスの新型セダン「ES」。同車はメルセデス・ベンツEクラスやBMW5シリーズなど強豪ひしめくプレミアムEセグメント市場に投入された、ミドルサイズセダンだ。

 レクサスES最大のトピックスは、量産車として世界初採用された「デジタルアウターミラー」だ。これは、通常のドアミラーの代わりに、カメラの撮影映像をフロントピラーに設置した画面に映し出すというもの。全車標準ではなく、最上級グレードの「Version L」にオプション設定される(税込21万6000円)。

  

 デジタルアウターミラーのアイディア自体は昔からあり、前々回の東京モーターショー(2015年)あたりから、サプライヤー大手がこぞって技術展示していたことを思い出す。

 余談だが、インナーミラー(ルームミラー)の「ミラーレス」化は先行しており、リヤウインドウのないパネルバン仕様のトラックなどでは10年以上前から存在する。カメラやディスプレイの耐久性は既に実証済みということなのだろう。

「デジタルアウターミラー最大のメリットは、まわりの状況を、より死角を減らして確認できることですね」。そう語るのはレクサスインターナショナル製品企画主幹の今泉一仁さん。

  

「デジタルアウターミラーは、プライス以上の価値があると自負しています。まずは、周囲の確認のしやすさ。ターンシグナルに連動させて広角化を行ない、死角を低減しています。
また雨天時にも威力を発揮します。通常のミラーですと水滴のついたガラスを通して鏡に写る後方を見ることになり、見えづらいです。デジタルアウターミラーの場合は、カメラのみ外に出ており、直接後方を撮影しています。カメラのレンズ周辺は水滴が付きにくい形状を採用しており、雨のときでもクリアな画面をみるとができます」

 壊れたら、メンテナンスに関してはミラーよりも大変なのだろうか?

「十分な強度を確保していますが、もちろんそれでも(接触などで)壊れることもあると思います。その場合、デジタルアウターミラーASSYを交換するのは大変なので、車体からカメラ部分を外すことなく、カバーを分解することができ、構造物だけを交換することができるように工夫を凝らしています」

 世界初と謳うデジタルアウターミラーの性能は実際どうなのか? 僅かな時間だが試すことができた。試乗場所は、夕方のラッシュが始まりつつある東京都内の皇居周辺。車線こそ多いものの、右折専用レーンや縫うように車線変更してくるタクシー、死角から飛び込んでくるバイクなど、初心者泣かせのコンクリートジャングルである。

 直進状態で、右にウインカーを出す。すると右側の5インチディスプレイの画角が瞬時に右下方向へ広がる。広がるというか、正確にはこの広角画像がカメラの撮ったままの映像で、普段はこの広角映像の左上をトリミングしたものを映し出しているようだ。物理的な光学レンズでカメラがズームイン&ズームアウトしている訳ではない。

 結果、狭角から広角映像への移行は一瞬で、とてもスムースだ。どうしても普段の癖でドアミラー付近を見てしまうが、そこにはカメラがある……。

 余談だが、デジタルアウターミラーも通常のドアミラーと同様格納ができるのだが、デジタルアウターミラーを格納すると、5インチディスプレイには自分の顔が映し出される。

「普段は広角で後方を確認したい!」そんな方は任意に広角ビューを選ぶことができる。通常ミラーと同じミラー調整スイッチを操作することで随時広角映像を選べるのだ。あくまで主観となるが、実際試乗した印象では、広角のほうが画面が粗くなく、見やすく感じた。右左折の際は、ミラーがなくなった分、斜め前方の死角がかなり低減されている。

  

 ちなみにバックする際は自動で広角映像へスイッチする。これまでの物理ミラーだとバック連動で下に動いたが、逆にミラー上方が見えなくなり不便だった。デジタルアウターミラーは前述の通り、そのまま広くなる。

 当日は晴天だったため、前述の今泉さんが語った雨天時や夜間の視認性は確認することができなかった。だが、ハードな渋滞で、後ろからガンガン差し込んでくる夕日(逆光)でも、ディスプレイは見やすかったことは述べておきたい。

 今後の話だが、デジタルアウターミラーの画面の大きさや設置場所はまだ一考の余地があるかもしれない。たとえばコンセプトカー「LF-1リミットレス」のようにメーターそばに左右のディスプレイを置いてしまえば、さらに視線移動は減るだろう。ディスプレイの形状も必ずしもスクエアでなくてもいい。この手のデジタルガジェットは先鋭的であればあるほど、ユーザーはついてくるはずだ。いずれにしてもこのデジタルアウターミラーはユーザビリティの高い装備。採用車種を拡大していってほしいと思う。


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