中古車に表示される「雨天未使用車」は買いなのか?

大切にされてきたクルマだという指標にはなる

 通常の中古車情報ではあまり見かけないが、趣味性の強い専門店などでは在庫車に「雨天未使用」というセールスポイントをアピールしているケースがある。文字どおり、雨の日には使っていないということだが、実際にはそれを証明することは難しく、オーナーの自己申告に過ぎないといえば、それまでだ。とはいえ、オーナーが雨に当てていないと主張するのであれば少なくともガレージ保管であったのだろうし、つまり紫外線などによる劣化は抑えられているということが期待できる。

 もっとも1980年代以前のように、あからさまにボディが錆に弱いという時代のクルマならまだしも、21世紀になってからのクルマにおいて「雨天未使用」というのは大事にされていたという程度の価値であって、コンディションに大きく影響するほどではないだろう。フロントガラスがワイパーによって傷がついていないというのは誰でもわかりメリットかもしれないが……。

 そもそも「雨天未使用」といえるようなガレージ保管されてきたクルマというのは実用に使われてきたものではなく、趣味性の強いコレクターズアイテムがほとんどだろう。つまりオークションで値段がつくようなヒストリーのあるクルマにおける価値であって、一般人にとっては雨天未使用だからといってそれがポイントになることはない。「雨天未使用」だからといって法外な価格をつけているのではなく、また予算の範囲内に収まっているのであれば、その個体は好コンディションである限り、買わない手はない。

 しかし、もし雨天未使用車を手に入れたとしても、すぐに露天駐車するようであれば、その価値にプラスアルファのコストを支払う意味はないだろうし、また前オーナーが長年にわたって守ってきたクルマを簡単に傷めてしまうことにもなってしまう。ヒストリックカーのような歴史的・文化的価値のあるクルマは、個人の所有物というよりも、人類の宝といえる。将来お宝になり得るであろう、良コンディションの個体を購入しようというのであれば、それなりの環境で維持管理できるかどうかを自分自身に問い直すべきだろう。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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