わずか1年で激増! 中国タクシー車両に見る急激なEV化の波

年代物のガソリン車も混在してまさに過渡期

 1年ぶりに広州モーターショー取材のために広州市を訪れると、ある変化に気が付いた。街なかを走るEVをメインとしたNEV(新エネルギー車)が、かなり目立っていたのである。1年前もEVは走っていたが、その数や種類はわずかであったが、今年はモデル、数ともに筆者の感覚でいえば“激増”に近い状況となっていたのである。

 中国はEVなどの新エネルギー車の普及に積極的とされてはいるが、北京など一部の都市で際立って普及しているのが現状で、中国全土でみると、全自動車台数におけるNEVの比率は数%とされている。しかしそのNEVの普及が広州のような二級都市レベルでも目立ってきているところに、一時期よりは経済的にも落ち着いてきているとはいえ、社会インフラの整備など、物事の進むスピードは日本とは比較にならないほど速いことを感じてしまった。

 空港から市街地中心部の宿泊先までは一般乗用車のNEVが目立っていたのだが、広州東駅に近い宿泊先から駅近くのスーパーへ買い物に行くときに、駅のタクシープールを見て驚いた。2017年までは見かけなかった、北京福田汽車製のEVタクシーが結構な数客待ちをしていたのである。

 広州地域、というよりは中国主要都市すべてで同じ傾向といってもいいが、タクシー車両で目立つのは北京現代製の“エラントラ”となる。広州市ではLPガスを燃料としている。続いて2017年あたりから目立ってきたのが、地元広州豊田製のレビン・ハイブリッドのタクシーが、2017年の比較にならないほど今回目立っていた。ほかには鄭州日産製のNV200タクシーなどもあるが、レビンタクシーの次ぐらいに北京福田のEVタクシーが目立っていたのである。

 気になったのが、かなり年式の古い北京現代製のヒュンダイ・ソナタの発展モデルや、VW(フォルクスワーゲン)サンタナなどもまだまだ現役で走っていたところ。何の根拠もないのだが、この古いタクシーがすべてとは言わないが北京福田のEVタクシーに化ける気がしてならなかった。

 LPガスエンジンでは定評のある韓国ヒュンダイの流れを汲むエラントラタクシーと、北京福田のEVタクシーの普及で、ハイブリッドながらガソリンを燃料とするレビンタクシーは状況が不利にも見える。もっともレビンは今回のショーで新型がデビューするので、新型登場後はタクシー車両としての供給をやめるかもしれない。NEVの普及で華北地域の北京福田の車両が華南地区で急激に存在感を見せてきた。NEVの普及でここ広州でのメーカーの勢力図も大きく変わるかもしれない。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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