新車セールスマンは辛いよ!? 本当にあった風変わり客との商談話3選 (1/2ページ)

クルマ離れの現代ならではの経験も

 日々さまざまなお客と商談を行うのが新車のセールスマン。なかにはいろいろな意味で印象深い人も多い。ここでは、とあるベテランセールスマンに、セールスマン人生のなかでとくに記憶に残った経験を振り返ってもらった。

■何のクルマを買っていいかわからないケース

 ある週末に若い夫婦連れが店を訪れた。話を聞くと、いま乗っているクルマが初度登録から13年超となり自動車税がアップしてしまうので新車に乗り換えたいとのこと。しかし乗っているクルマは中古車店でたまたま目に留まって購入しただけで、生活の移動手段として所有しているため、どんなメーカーや、どんなモデルがあるのかもチンプンカンプン。とりあえず自宅近くなのでやってきたと話してくれたという。

 セールスマンによると「最近はこのようなお客様も増えております。このようなケースではお客様が普段どのようにクルマを使用しているかなどを伺うことから商談が始まります」とのこと。

 話を聞いていくと、旦那さんは免許証を持っているものの週末に運転するぐらいで、もっぱら奥さんが買い物などで日常的に使うことが多い。保育園に通う子どもがひとりいて、親子三人で乗ることがほとんどとのことだ。コンパクトハッチバックや、コンパクトサイズで背が高く、リヤドアがスライドドアで背の高いMPVスタイルのモデルを勧めると、コンパクトMPVの購入が決まった。

「車種が決まると、今度はグレードの絞り込みです。本人たちは何も希望もなく漠然と新車に乗り換えたいということなので、今度はカタログベースでエンジンバリエーションや、グレード間での装備差、おすすめオプションの説明などをしていき、希望グレードを絞っていきます」とのこと。

 希望グレードやオプション、ボディカラーが決まり、ようやく見積書を作成。今度は下取り査定の仕組みや、販売諸費用などの説明に進む。「『値引きはできますか?』と聞いてくるお客様もいらっしゃいます。さすがに値引きゼロは気が引けますので、無理のない値引きを計上してようやく契約成立となります。そこまで4~5時間かかることもあります」とのこと。

「世間でクルマへの興味が薄れている顕著な現象と感じております」と最後に語ってくれた。

■新人セールスマンへ心得を指導する客

 新車販売の世界へ足を踏み入れたばかり、つまり新人セールスマンのころの話。ある日上司から、すでに辞めてしまったセールスマンが担当していたお客のところへ集金に行くよう頼まれた。言われるがままに、そのお客とアポを取り、そのお客が経営する不動産会社へ集金に出かけた。

 集金の際に3000円ほどのお釣りが発生したので、財布から取り出しそのまま渡すと、「ちょっと待て!」とお客。

「お釣りを渡す時にはお札の肖像画をそろえて渡しなさい。そんなのは当たり前だ」といきなり怒られたとのこと。

 それが正しいのかどうかはともかく、とりあえず「すみません」と謝り、今度は領収書を記入し、お客に「三文判をください」といったら、「世の中に三文判というものはない。そのような時には”認め印”と言いなさい」とまたまた怒られた。そのあとも営業マンとしての心得みたいな話を延々と聞かされたとのこと。

 営業所に戻ると、先輩から「どうだった?」と聞かれたので、正直に様子を話すと「あの人の説教は有名なんだよ」と教えてくれた。この話をしてくれたセールスマンは、その説教はもっともだと思ったので、それ以降お札はどんな時でも肖像画をそろえて相手に渡し、三文判とは言わなくなったそうだ。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
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渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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