夢の技術? ITSコネクトは自動車事故ゼロの社会を実現できるのか (1/2ページ)

インフラや車車間で通信することにより安全運転を支援

 ITS(高度道路交通システム)コネクトは、車載されたセンサーのみでは状況を把握しきれないところを、道路の社会基盤(インフラストラクチャー)や、クルマ同士が情報を補完しあう連携により、安全な走行を支援することを目的としている。いずれも、自動運転へ向け開発が進められている。

 従来、クルマの開発は単体の部品性能を上げることが中心で、それによって性能が高められてきた。従ってこうした話題が持ち上がると、その技術や性能だけで目標が達成できるのかといった議論に陥りやすい。しかし、すでに既存の運転支援技術においても、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)や駆動力制御などで使われている技術が、運転支援に応用され、複合的かつ総合的なシステムとして機能を果たすようになっている。

 事故ゼロを目指す運転支援や自動運転への道筋も、複合的なシステムの集合として機能することにより、完成を目指すことになる。そのためには、自動車メーカー内の部署の壁を取り払った組織改編が必要であるとともに、行政機関もこれまでの省庁の在り方ではなく、部門の壁を超えた取り組みができなければ、日本は総合力で世界に負けてしまいかねない。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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