ターボは燃費が悪いんじゃなかった? ダウンサイジングターボは本当に効率の良い仕組みなのか (2/3ページ)

排気量が小さいほうがポンピングロスを低減できる

 さて、同じ排気量で比べるとパワーアップにつながるため、燃費性能的には不利になるターボエンジンだが、その素性としての高効率を活かすのがダウンサイジングターボと言われているものだ。ターゲットとなる最大トルクに対して、NAエンジン(自然吸気エンジン)とターボエンジンそれぞれで達成しようとするとターボエンジンのほうが小排気量で済むため、ダウンサイジングとなるのだ。

 たとえば、車重や加速性能などの要件から250N・m程度の最大トルクが必要な場合、NAエンジンでは2.4~2.5リッター程度の排気量が必要となるが、ターボであれば1.5~1.6リッターで十分なトルクを発生することができる。同程度の最大トルクを出しているとして、排気で捨てているエネルギーを利用できるターボエンジンのほうが、全体としての効率に優れる。そのためダウンサイジングターボが省燃費エンジンとして評価されるようになってきた。

 また、ガソリンエンジンについていえばスロットルバルブを全開にしているほうが「ポンピングロス」を低減できるため効率面で有利だ。傾向として排気量を小さくしておいたほうがポンピングロスの低減には効果がある。

 EGR(排気再循環)や吸気バルブのタイミングなどによる高膨張比サイクルとすることもポンピングロスの低減には効いてくる。EGRは排気の一部を吸気系統に合流させて、再びシリンダー内に送り込むというもので、吸気量を増やしながら酸素は少ない(燃料を減らせる)という技術だが、ここでもターボによる過給と組み合わせることで、十分な出力を確保しながら、EGRを増やすといったことが可能になる。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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