ターボは燃費が悪いんじゃなかった? ダウンサイジングターボは本当に効率の良い仕組みなのか (3/3ページ)

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さらに、傾向としてエンジン回転数を落としておいたほうがスロットルバルブは大きく開けるのでポンピングロスの低減には有利。そこで、多段でステップ比の大きなトランスミッションと組み合わせることで、アクセル開度を大きくしやすくして、パワートレイン全体として効率を上げるようにしている。
アクセルについても、ペダル操作を電気信号に変換して、スロットルバルブに伝えるDBW(ドライブ・バイ・ワイヤ)が広く普及したことも、ダウンサイジングターボには有利に働いた。多段ATやCVTとDBWの制御を巧みに利用することで、可能な限りロスを減らしたことが、ダウンサイジングターボの燃費性能につながっている。
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とはいえ、ダウンサイジングターボには良いことばかりではない。ポンピングロスの低減につながるのはアクセル開度が大きなシチュエーションだが、テストコースやエンジンベンチで限界域をテストしているのならまだしも、一般公道ではアクセルを全開にするようなことはほとんどない。全開時と比べるとゆっくりと加速して、速度を微調整するためにアクセルのオン/オフを繰り返すといった状況がほとんどだ。
そうしたシチュエーションでの過渡特性については、ダウンサイジングターボは出来のいいNAエンジンには敵わない。リアルワールドにおいてはダウンサイジングターボのメリットを引き出しづらいシーンもあり、そのために同程度の最大トルクで比較したときに、NAエンジンのほうが実際の燃費では有利と主張しているメーカーもある。
なお、リアルワールドの燃費でいうと、軽自動車同士で比較すると高速巡行についてはNAエンジンよりターボエンジンのほうが燃費性能において有利な傾向にある。とくにスライドドアで重く、空気抵抗の大きな車種ではそうした傾向は顕著だ。
実際、日産デイズルークス、三菱eKスペースのカタログ値を見ると、NAエンジン車が22.0km/Lなのに対して、ターボエンジン車は22.2km/Lと数字上でも省燃費になっていたりするほどだ。軽自動車の場合、ダウンサイジングターボとはいえないが、小排気量ターボの良さを引き出した結果がカタログ値にも現れた一例といえるだろう。