【試乗】ヘビー級のSUVでも操縦性抜群! 横浜ゴムの新ジオランダー「X-CV」が見せる衝撃の完成度 (2/2ページ)

クルマのシャシー全体が緩んだ印象を得るほど突き上げ感がない

 次に車輛をジープ・グランドチェロキーに乗り換える。こちらには265/50R20サイズが装着されている。

 ジープ・チェロキーもまた車輛総重量では2トンを大幅に超える。ジープの場合、メルセデスと大きく異なるのはサスペンションマウントなどのブッシュコンプライアンスに大きな変動域が設定されており、物理的な乗り心地性能を高めている一方、ステアリングインフォメーションなど感応的なダイレクト感をあえて抑えていることが上げられる。はたしてX-CVのような高応答なタイヤを装着するとどんなバランスになるのか興味深かった。

 走りはじめるとハーシュによる突き上げの絶対的な数値は明らかに低く、シャシー全体が緩んだ印象を得るほどだ。これでハイスピードのコーナリングが成立するのか不安に感じたが、コーナーへ進入していくとメルセデス・ベンツGLEに匹敵、いやそれ以上のクイックなステアリングレスポンスを引き出せている。

 これはコンプライアンスブッシュが早期に限界まで撓み、そこからはシャシーへの入力が剛結に近い状態になっているからと考えられる。それでもX-CVはしっかりしたタイヤケーシングを保っていることで正確なステアリング応答性が得られており、タイヤの性能で決まる操縦性領域はメルセデス・ベンツと同様に発揮できた、というわけだ。

 今回ウエット路面は試せなかったが、X-CVに採用されたコンパウンドには特殊なシリカ分散剤を使用しマイクロシリカが増量された。これであらゆる路面にグリップするゴムとしての新ブレンドポリマーコンパウンドとなっている。メーカーの計測では制動性能は8%も向上しているという。ロードノイズに関しては23%も低減したことが確認されていて大幅な静粛性向上を果たしているといえる。

 このX-CV装着のおすすめモデルとしては今回試乗した2車の他にも重量級SUVとしてポルシェ・カイエンやマカン、アウディQ7、BMW・X6、ボルボXC90、レンジローバーなどともマッチングがよさそうだ。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
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海外巡り
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クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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