【試乗】クロスオーバーSUVならもっと売れる!? 新型ホンダ・インサイトは走りも気持ちいいHV (1/2ページ)

ネックになるのは日本での販売価格か?

 あまり認知されていないものの、3代目インサイトはホンダがホンキになって開発した「プリウスキラー」である。こう書くとクルマ好きなら初代と2代目の惨敗劇を思い出すと思う。初代は初代プリウスに対するホンダの意地だった。とにかく徹底的に燃費を追求。ハイブリッド技術の実力不足を軽量化でカバー。すべてアルミでボディ作ってます。

 2代目もハイブリッド技術の実力不足を認識していたため、プリウスより圧倒的に安い価格設定とした。けれど“安さ”がトヨタのライバル魂に火を付けてしまい、後出しとなったプリウスは「誰が考えてもプリウスを買うでしょうね!」という魅力的な価格を付ける。プリウスの価格が公表された時点で勝負決まったほど。そして3度目の正直です!

 今回プリウスはオウンゴール気味。ライバル居ないのに売れ行きを落としてしまっている。一方、今回のインサイト、気合い十分だ。まず肝心要のハイブリッドシステムだが、アコードから始まった2モーター式、燃費もドライバビリティもトヨタのTHS方式に勝るとも劣らず。ノア3兄弟とステップワゴンを見ても、燃費と走りで優位!

 ちなみに2モーター式ハイブリッド、日産のe-POWERと基本的に同じ仕組み。ホンダの優位点は巡航時にエンジンと駆動軸を直結に出来ること。高速道路の巡航燃費で明確にホンダの勝ちだ。少なくともプリウスクラスでもっともバランスの取れたハイブリッドシステムだと言っていい。1997年からハイブリッドに乗ってきた私が断言します。

 2代目インサイトでコケ負けした車体もプリウスより優位にある。2代目インサイトと3代目プリウスを並べると、100人中99人がプリウスの勝ちだと判断する圧倒的な差だった。けれど新型インサイト、現行プリウスと並べたら、100人中99人がインサイトに軍配を上げるだろう。外観だけでなく居住空間の広さ感など圧倒的といってよい。

 トドメが価格。アメリカでの価格を比べると、プリウスより少し安い。アメリカに住んでいてハイブリッドを考えるなら迷うことなくインサイトを選ぶ。しかし! 日本でのは若干状況が違う。インサイトはナビまで標準装備するなどコテコテのフル装備とし、プリウスの最上級グレードと同等レベルにしてきたのだった。

 今回試乗したインサイトの価格を見たら362万8800円! 乗り出し価格で400万円に達してしまう。すべてにおいて余裕のあるカムリに手が届く。プリウスだって売れ筋は中級グレード。大きくてカッコ良くなる新型カローラ4ドアのデビューもインサイトにとって向かい風です。もっと言えば、この価格帯になると輸入車だって視野に入る。


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