ドアパンチの心配なし! 乗降性も良し! それでもガルウイングが普及しないワケ (1/2ページ)

現行国産車では採用されていない

「こんまり」こと近藤麻理恵さんが整理整頓において「ときめき(Spark Joy)」をキーワードにしていることは知られていますが、クルマ好きにとって“ガルウイングドア”は飛び切りのときめきを生んでくれる装備ではないでしょうか。

 ガルウイングドアは狭い場所でも開閉しやすく、開けた姿にもときめきがありますから、もっと普及してもいいように思えますが、現行モデルではテスラ・モデルXのリヤドア(ファルコンウイングドア)がガルウイングドアの亜流といえるくらいで、ほぼ採用例は見当たりません。

 スポーツカーでいえば、メルセデスのSLS AMGが採用していたことも記憶に新しいところでしょうか。国産車になると、1992年に生まれたオートザム(マツダ)AZ-1まで遡る必要があります。

 上に向かって開くタイプのドア全般を「ガルウイング」と呼ぶ傾向もありますが、正確にはルーフ中央付近にヒンジがあってL字型のドアを持つのがガルウイングといいます。

 ランボルギーニが採用しているヒンジがフロントフェンダー側にあるタイプは「シザーズドア」といいます。

 またフェラーリやマクラーレンに見られるドアが斜め上に向かって開くタイプは「バタフライドア」といいます。国産車ではトヨタ・セラがバタフライドアに分類されます。

 こうした上に開くドアに共通するメリットは、ドアを全開にしたときでも横にはみ出す量が少ないこと、そのため開口部を広くでき乗降しやすいことがあります。

 こうしたメリットはファミリーカーでも有効に思えます。とくに最近のクルマは車幅が広がる傾向にありますから、駐車場などで横方向の余裕が足りないと思うこともしばしば。上に開くのであれば乗り降りしやすいこと請け合いです。前述したようにテスラがリアドアとはいえSUVモデルにファルコンウイングドアを採用しているのは、そうしたメリットのためでしょう。

 とはいえ、ガルウイングドアはほとんど見かけなくなりました。便利にも思えるにも関わらず普及しない理由は何でしょうか。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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