円高加速で価格破壊も! 激動の時代に登場した平成6年生まれの国産名車&迷車6選 (2/2ページ)

コンパクトボディにV6エンジン搭載のスポーツモデルも登場

4)三菱FTO

 当時のセリカ、シルビア、プレリュードに対抗するFFのミドルサイズのスペシャリティカーで、気持ちよく回る2リッター V6エンジンの搭載やコーナリングスピードの速さにより、短い期間ながら日本車FF最速となった。その点以上に印象的だったのがINVECS-IIと呼ばれたワインディングロードなどにも賢く対応するDレンジとポルシェのティプトロニックのような独立したMTモードを持つATで、この点が高く評価されFTOはこの年の日本カーオブザイヤーを受賞した。

5)三菱・パジェロミニ(初代モデル)

 当時のパジェロをそのまま小さくしたスタイルを持つ、ジムニーよりはシティユースを重視した軽のクロカン4WD。スタイルやパジェロを引き継いだイメージの良さで大人気となっただけでなく、ターボ車は4気筒の5バルブDOHCを搭載したこともあり軽自動車ながら200万円近いグレードもあった。その高価なグレードがよく売れ、軽自動車の高級化の先駆けとなったことも印象的だった。

6)スバル・インプレッサWRX タイプRA STi

 1992年に登場したスバル・インプレッサは、モータースポーツ参戦も視野に入れたスポーツモデルのWRXのスポーツ性をさらに向上させたSTiを1994年1月に追加。またこの年の10月に加わったWRX タイプRA STiはその名の通りSTiのラリーやジムカーナ参戦ベースとなる快適装備のないスパルタンな仕様で、特に注目したいのは現代のWRX STIまで続くドライバーズコントロールセンターデフ(DCCD)を初めて搭載した点だ。


(上記写真はWRX STi)

 重心の低い水平対向エンジンを積むインプレッサを含むスバル車は4WDながら回頭性の高さが美点だったが、DCCDの搭載によりダイヤルで前後駆動力配分をドライバーの任意で直結4WD状態からFR車に近い35:45のフリーまで変更できるようになり、競技中のコース状況などに幅広く対応する4WDに進化。さらにDCCDは競技中にスピンターンなどをするためにパーキングブレーキを引いた際にはセンターデフがフリーとなる機能も備えており、前後輪が干渉せずに綺麗なターンを決められることも魅力だった。

 またDCCDは2代目インプレッサの中盤以降オートモードが加わるなどの進化を遂げると同時に、宿命のライバルである三菱ランサーエボリューションに対してもランエボVIIからDCCDに近い機能を持つACDが備わったことでも影響を与えた。

 このほかにもパジェロをベースにしたミニバンの三菱デリカスペースギアや、今でいう乗用車よりのSUVとなるクロスオーバーの先駆けとなる日産ラシーンが登場するなど、振り返ると1994年はRVの台頭が目立った年だった。


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