ランエボに続いて欧州車がWRXに宣戦布告か!? 最近2Lターボ4WDの輸入車が増えるワケ (2/2ページ)

ハイパワーを受け止めるには4WDが最適

結果として、同じシリンダー容積で気筒数を変えることが、効率面から正義になった。BMW(MINIを含む)にしろ、メルセデスにしろ、3気筒・4気筒・6気筒をモジュラーデザインで作ることを目指している。そうなるとシリンダー容積についてもバランスの良いスペックにしたい。そしてウェルバランスのシリンダー容積は400~600ccと言われている。気筒当たり500ccとするのが効率的なエンジンを作りやすいということになる。

つまり、3気筒であれば1.5リッター、4気筒は2リッター、6気筒は3リッターが理想的な排気量として導かれるのだ。6気筒の横置きというのはパッケージが難しいから、おのずと横置きエンジンのハイパフォーマンスモデルの心臓部は2リッター4気筒ターボエンジンが選ばれるということになる。それが、欧州車における2リッターターボエンジンのブームにつながっている。

前述したランエボ・インプが競い合っていた時代、その限られた排気量から最終的には280馬力に達していたくらいだから、燃料の直噴化によって耐ノッキング性が向上した現在であれば、300馬力など軽々と越えていく。このカテゴリーでは最強といえるメルセデスAMGのCLA45、GLA45が積む2リッターターボエンジンは381馬力(280kW)の最高出力、475Nmの最大トルクを発生しているほどだ。

そして2リッター4気筒ターボをハイパフォーマンスグレードに積む車種というのはエンジン横置きのFFベースであることが多い。これほどのトルクをフロントの2輪で受け止めるというのは至難の業。積極的に4WDを選ぶことで、パフォーマンスの高次元でバランスさせることができると考えるのが自然だ。

そういうわけで、2リッターターボエンジンがハイパワーになるほどに、駆動系も4WDを採用するケースが増えてくるというわけだ。冒頭で「なぜ2リッターターボ4WDの輸入車が増えているのか」と疑問を掲げたが、ロジカルに考えれば、なんの不思議もない話である。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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