大企業の社長なのにサーキットを疾走! トヨタ&ホンダの社長が自らクルマ・バイク好きをアピールするワケ (2/2ページ)

クルマ好きのファンの心を打つ可能性が高い

 それでも、トップが「カーガイ(クルマ好き)」であることをアピールする意味はあるのだろうか? ポジティブな要素としてはブランドに対するファンを獲得する力があるといえる。とくにトヨタは、そもそものシェアが大きいということから、つまらない平凡なクルマというブランドイメージもあった。それはそれで「安全パイな製品が欲しい」というユーザーマインドにはプラスだが、豊田章男さんがさまざまなシーンで「カーガイ」であることをアピールするようになり、トヨタというブランドを好意的に受け止めるクルマ好きが増えている印象がある。簡単にいえばファンが増えている。

 現在のブランディングにおいて、ファンを獲得することは重要だ。こうしたメリットにつながることで、前述したようなリスクを嫌った反対の声を抑え込めるという部分もあるだろう。ブランドのファンはロイヤルカスタマーとも呼ばれることもあるが、ほかのブランドへ浮気をしないことで安定した収益にもつながる。ファンがブランドを支え、ブランドはファンの期待に応えていく、こうした好循環によりブランドの信頼も高まっていく。そういえば、多くの自動車メーカーが違反をしていた完成検査においても、トヨタとホンダは問題がなかった。これも信頼されているという自覚が生み出した結果であって、偶然ではないのかもしれない。

 もっとも、鈴鹿モータースポーツフェスでの心底楽しそうな笑顔を見ているかぎり、おふたりは単にクルマ好き、バイク好きという純粋な気持ちからの行動かもしれないが……。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
趣味
モトブログを作ること
好きな有名人
菅麻貴子(作詞家)

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