クルマも自転車もヒヤヒヤ! 法整備だけでは解決できない自転車通行帯に潜むキケン (2/2ページ)

道路の幅を最大限有効に使う方法を考えるべき

 実際、歩道を猛スピードで走る自転車、スマートフォンを操作しながら走る自転車、無灯火で走る自転車、右側通行する自転車など、乱暴な運転が目に余る。それを、警察官も見ていながら注意しない場面に出くわす。

 スマートフォンを見ながら走る自転車のそばに警察官が居ながらまったく注意しない姿を見た。私が警察官にそれを指摘しても「はぁ~??」という反応だ。あるいは幹線道路を赤信号で右折していく自転車を目撃しながら、交通整理に立っていた警察官は笛一つ鳴らさず見送った場面にも立ち会った。

 自転車の右折は、クルマと同じ右折車線を使うことはできず、一旦交差点を直進し、角で方向を変えて交差する道を再び直進することになっている。なおかつその自転車は赤信号で突っ込んで来たのに、警察官は何ら注意を与えなかった。早朝に散歩をしていると、無灯火の自転車がいくらでも走っている。円滑で安全な交通を守る上で警察の役目は大きいはずだ。交通安全運動期間中でも、そうしたことが改められずにいる。

 既存の道路にただ走行帯を塗装するだけでなく、道路のあり方自体を見直すことも必要ではないだろうか。たとえば道路の街路樹の木と木の間はとくに何か用途をなしているわけではない。花壇などに使われるだけであり、木の植え込みの幅を歩道側にえぐるように凹ませてクルマの駐車帯に活用すれば、クルマの流れをよりよくするだけでなく、自転車の通行もそれほど危険にさらさなくても済むのではないか。それでいて、歩道側の歩行者の通行の妨げになるわけではない。

 単に机上で考え、路上に塗装を施すだけでなく、制約のある道路の幅をいかに歩行者と自転車とクルマとが有効活用できるかという抜本的な道路政策の見直しが必要なのではないだろうか。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

新着情報