危険回避ができないことも! AT車ユーザーに多い遠目のドライビングポジションがもつ3つの問題 (1/2ページ)

イザというときのペダルの踏み込みが甘くなる

 皆さんはドライビングポジション、とくに座面の前後の位置をどのような基準で決めているのだろうか?

 MT車なら、クラッチペダルを奥まで踏んだ状態で、膝が少し曲がったぐらいの位置がベストとされていて、それを実践しているユーザーも多いだろう。

 ところが、クラッチペダルがないAT車の場合、ペダルを奥まで踏むことを前提にしていないポジションのドライバーの方が多いのではないだろうか。

 とくに最近のAT車の場合、燃費のためにエンジンを高回転まで回さず、低回転でポンポンシフトアップするような設定になっているクルマが多いので、通常は加速時でもアクセルをあまり深く踏むようなシーンがない。

 同様にブレーキも普段は浅い踏み込みでも制動力は十分足りているので、運転中に膝が伸び気味になる、ペダルからの距離が遠目のポジションになっている人が多いようだ。

 筆者は仕事柄、他人のクルマに乗らせてもらう機会も多いが、そのオーナーが普段座っているポジションに座らせてもらうと、身長が同じぐらいの人、あるいは低い人でも、1ノッチから2ノッチは遠いと感じることがほとんどだ。

 MT車の場合、そうしたことが気になるケースは少ないのだが、AT車の場合、大半が遠いポジションになっている……。

 こうした遠目のポジションは、3つの点で問題がある。

1)フルブレーキができない!

 ペダルを浅くしか踏めないようなポジションでは、いざというときブレーキを最大限使いきれない可能性がある。

 クラッチペダルのないAT車であっても、ドライビングポジションの基本は変わらない。

 まずはシートに深く腰掛けて、(エンジンをかけた状態で)ブレーキペダルを一番奥まで踏んで、そのときに膝が軽く曲がって、膝裏に少し余裕がある位置にシート位置を調整する。

 タイヤのグリップ力やブレーキ自体に余力があっても、ブレーキペダルを踏みきらない限り、最大減速、最短距離停止はできないので、ブレーキペダルを余裕も持って踏み切れるポジションに座ることは、安全運転の上でも何より大切。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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