これでホントに公道走る気? レーシングドライバーでも躊躇するスパルタンすぎるクルマ3選 (1/2ページ)

一昔前のレーシングカー以上の速さを誇るが……

 最近のクルマの高性能化は著しく、一昔前のレーシングカー以上の速さを誇るモデルも多く登場している。ボクが全日本グループA選手権にスリックタイヤ装着の三菱スタリオンで参戦していた頃は筑波サーキットのラップタイムは予選アタックで1分3秒台。決勝レースにもなると1分6秒台でラップして総合優勝した時代だ。

 それが今ではラジアルタイヤのまま1分フラットで走れる市販モデルが続出している。しかし、速さはあるが、とても普段乗るにはスパルタン過ぎて嫌気の差すクルマも。

1)日産GT-R初期型

 GT-Rの登場は鮮烈だった。フルタイム4WDのアテーサを採用しトランスアクスルのレイアウトでほぼ理想的なパッケージングを実現。どこのサーキットでも市販状態でとんでもない速さを叩きだす。しかし、その乗り心地はとてつもなく悪いものだった。

「ドイツのアウトバーンで300km/hで走りながら助手席の人と普通に会話ができる」と開発者の水野和敏さんは当時力説した。

スポーツカー

 しかし、それはサスペンションや車体の周波数特性を200km/h以上の超高速域に合わせ込んで実現できたもの。逆に日本の一般道では車速レンジが低過ぎガチガチに固く感じられてしまうだけだった。路面の継ぎ目や小さな凸凹でも頭痛を感じるほどの衝撃波が伝わってきた。

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 さらにコンマ2秒で変速可能とされたツインクラッチのトランスミッションも変速のたびに強い衝撃が伝わってきてスムーズさは微塵も感じられない。これをスパルタンな乗り味とすればサーキットでは抜群の性能だが一般道では乗るのが嫌になるほどの味付けと言えた。

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 ただ水野さんが日産を去って、2014年に田村宏志さんが統括するようになると一般道での周波数特性への合わせ込みが実施され、2017MYになってようやく低速域でも快適に乗れるようになった。

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 ベースグレードのサーキットでの速さは若干スポイルされたが、NISMOバージョンを設定し従来以上の速さに仕上げてユーザーの選択肢を拡げたのである。

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中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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