超便利な「わくわくゲート」はなぜ受け入れられない? ホンダ・ステップワゴンが苦戦するワケ (2/2ページ)

実際に乗って使ってみると良さがわかる

 ところが、実際にサブドアを使ってみると、駐車時、車体後方にスペースがなく、ヴォクシー&ノアではテールゲートを大きくガバッと開けるのに1m程度のスペースを必要とする場面でも、ステップワゴンの3段階に開くサブドアなら、最小400mm、中間で640mm、全開にしても760mmのスペースがあれば開けられ、荷物を出し入れでき、なんと人や犬も乗り降りできるのだから、超便利なんですけどね……。

 忘れてはいけないのは、ダウンサイジングターボはVWやメルセデスベンツ、ボルボなどでも行っている時代の流れ。VWゴルフの1.4リッターターボなど、トルク、加速力は下手な2リッターモデルより上だったりするほどなのだ。加えて、ステップワゴンの場合、1.5リッターターボを選べば、排気量で変わる自動車税も安くなる理屈(ステップワゴンの1.5リッターは1496ccなので3万4500円。2リッターモデルは1993ccで3万9500円)。

 で、5代目ステップワゴンは失敗作だったのか? の答えは、ボクとしては基本的にNO! と言いたい。確かにハイブリッドモデルの設定(標準車のHVの設定が急務)、いまや不可欠な先進装備と言えるACCが渋滞追従せず、再加速性能が穏やかすぎるなど、先進装備でたとえばセレナのプロパイロット仕様と比較すれば不満点はあるものの、ヴォクシー&ノアは現状、ACCすら付いていないのだ。

 くどいようだが、1.5リッターターボ、2リッターハイブリッドともに、走れば納得。標準車の上質で爽快なドライブフィール、スパーダハイブリッドの上級感たっぷりの走行性能は、ライバルをしのいでいる。

 問題はステップワゴン=1.5リッターという、エンジン排気量による「思い違い」から、そもそも選択肢に上がらないとすれば、ぜひ、日産、トヨタのショールームで試乗したあと、ホンダのショールームでステップワゴンに試乗してみてほしい。少なくとも、動力性能に不満を感じることはないはずなのである。

 加えて、わくわくゲートのサブドアの、現代のクリエイティブムーバーと言える“意欲的”な使い勝手についても、体験していただきたい。室内側からバックドアを開けられ、乗降用のアシストグリップまで付いているクルマなど、世界中を見渡してもそうはないのである。

 その便利さと楽しさは、子供やペットがいるファミリーにもうってつけと言っていい。左右非対称の違和感!? より、その画期的な使い勝手に着目すれば、失敗作などとは決して思えないはずである。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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