レーシングカーのようなシャコタン・ツライチ! 見た目以外に市販車でやるメリットはあるのか? (1/2ページ)

運動性能の良し悪しにつながる重要なポイント

 どういうわけだか、われわれクルマ好きにはペッタンコで先端が尖っていて、幅が広くて、タイヤが大きいクルマがカッコ良く見える遺伝子が組み込まれているらしい。

 その本能に近い欲求から、人はローダウンやツライチに惹かれるのだろうが、そうしたカッコよさ、つまり見た目意外にシャコタン・ツライチにメリットがあるかというと難しい……。

 シャコタンに関しては、重心が下がることによって、タイヤの接地性が上がり、コーナリング時はインサイドのタイヤのグリップが有効に使えるようになるので、限界は高くなるというメリットがある。だからレーシングカーは、車高が少しでも低くなるよう工夫されているわけだが、市販車を車高調やスプリングだけでシャコタンにしようとすると、サスストロークが減った分、バネを固くする必要があり、結果的に乗り心地が悪くなる。またロードクリアランスが減るので、フロントスポイラーなどをちょっとしたギャップで擦るリスクが増してしまう。

 もっと厄介なのはツライチ。ツライチにするためにはスペーサーを入れるかホイールサイズを変える必要があるわけだが、いずれにせよツライチにすると、トレッドが変わる。トレッドが広がれば広がるほど、横方向への踏ん張りがきくようになり、クルマに安定感がるように見える。

 クルマのハンドリングは、ほとんどこのトレッドとホイールベースの値で決まるので、メーカーもこの数字はかなり慎重に設計している。基本的にはホイールベース/トレッド比が大きいクルマは、直進安定性や乗り心地がよく、ホイールベース/トレッド比が小さいクルマほど、運動性、敏捷性、操縦性重視になる。例えば、話題のGRスープラなどは、ホイールベース/トレッド比が、1.55とスポーツカーでも最少の部類で、かなり回頭性を重視しているのがわかる。

 それだけに、このトレッドが10mmも変われば、ハンドリングへの影響もかなり大きくなるので本当はいじりたくはない部分。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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