日産は大丈夫なのか? 2019年の第一四半期決算が営業利益約99%減の事情 (1/2ページ)

販売台数大幅減となった原因はなにか?

 あくまでも結果論だが、昨年のゴーン氏逮捕は日産にとって大きなプラス効果となった。ブランドイメージには悪影響が出た一方で、大規模な事業再編に動くことができたからだ。

 日産が発表した2019年第一四半期(4〜6月)の決算では、売上高は2兆3724億円(前年同期比12.7%減)となり、営業利益は98.5%減と大幅に落ち込み16億円だった。なぜここまで大きな落ち込みになったのか?

 販売台数を仕向け別に見てみると、e-POWER特需が収まってきた日本が2.6%減、逆に中米貿易戦争の影響で市場が冷え込んでいる中国では2.3%増、また販売台数が最も多い北米では6.3%減、さらには欧州で16.3%減、中東や東南アジアを含むその他の地域でも13.1%減と落ち込みが目立つ。

 こうした販売台数大幅減の理由はなにか? それは、インセンティブ(販売奨励金)に対する見直しだ。

 日産の新車投入のサイクルは、他メーカーと比べるとスロー。そのため、顧客の購買意欲が沸かない場合が多い。それでも顧客に日産車を購入してもらうため、もっとも有効な手は値引きである。新車を値引けば当然、ディーラーの儲けは減る。だが、販売台数を稼げばメーカーからインセンティブが得られる。これが古典的な手法であるが、購入者はディーラーマンと何度も値引き交渉をする必要がある。

 一方、アメリカなどでは、全国規模で一斉に「3000ドル(約33万円)キャッシュバック」といったテレビやネット広告を打ち、顧客をディーラーへ誘導する。アメリカの自動車業界関係者の間では数年前から「日産の販売は、多額のインセンティブによって支えされている」と指摘してきた。こうした儲けの少ない販売手法に対して、本格的なメスを入れた。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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