自分でも買える市販車ベースだから爆発的に盛り上がった! レーシングドライバーが語る日本のツーリングカーレースの歴史と提案 (3/3ページ)

2リッターターボ4WDマシンでのレースは盛り上がるはず!

 ニューツーリングカーは国内で覇権を競うJTCC(ジャパンツーリングカーチャンピオンシップ)や、本家英国でのBTCC(ブリティッシュツーリングカーチャンピオンシップ)のほか、世界タイトルのかかるWTCC(ワールドツーリングカーチャンピオンシップ)など地域ごとに開催されメーカー各社も量販モデルを投入できるとあって、国内では日産、ホンダ、トヨタ、マツダの主戦場となるなど盛り上がりを見せる。またBMW3シリーズ、オペル・ベクトラ、アルファロメオ155など欧州製対国産勢の闘いの構図も注目を集めたものだ。

 だが2リッター自然過給エンジンの4ドアセダンのパッケージングでは、Gr.Aの1クラスに比べ圧倒的に絶対スピードが低く、レースの質は高かったが大人気を誇ったと言えるほどまでには成長しえなかったのだ。

 国内ではより多くの車種が参加でき、チューニングレベルも抑えられたN1クラスによる耐久レースに多くのエントラントが集まる。1クラスは行き場を失いかけていた日産スカイラインGT-Rによって格好の舞台となり、三菱はGTOで果敢にGT-Rに挑んだ。2クラスは三菱ランサーエボリューション(ランエボ)とスバル・インプレッサによる2リッターターボ4WDクラスとなり、新たな闘いの構図を展開。3クラスもホンダ・インテグラタイプRや日産フェアレディZ、マツダRX-7など多くの車種が参加することとなる。

 N1カテゴリーゆえ市販車の完成度の高さが大きく問われ、ランエボはN1耐久(後にスーパー耐久)で勝つ為に市販車の進化を続けていったといっても過言ではない。

 今、三菱がランエボの生産を終了し、スバルも積極的な活動をしていない。2リッターターボ4WDという、今では世界で唯一AWDのスリックタイヤで競えるカテゴリーなのに台数が減少し衰退してしまっているのは、いち時代を築いた者(ランエボを駆りクラス50勝を上げ5度の年間優勝を記録)としても忍びない想いでいる。

 しかし見渡せばメルセデスAMG A45やVWゴルフRなど2リッターターボ4WDモデルとして、すぐにでも勝てそうな市販モデルが増えている。S耐の2クラスで勝てば販促上大きなメリットが得られるはずだ。メルセデスAMG、VWが参戦を検討してくれることを今は願っている。そしてスーパーGT同様、スーパー耐久が世界のスタンダードカテゴリーに成長してくれたら嬉しい。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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