3ナンバーでも日本の道にジャストフィット! 新型トヨタ・カローラ&カローラツーリングのメカニズム解説 (2/3ページ)

目指したのはずっと乗っていたくなる上質で爽快なフィーリング

 トヨタの次世代の小型車用として設計されたTNGAのGA-Cプラットフォーム。プリウスや海外仕様のカローラに採用されているが、C-HR、カローラスポーツ、レクサスUXにはホイールベースを短縮した仕様が採用された。カローラ/カローラツーリングは、基本的にカローラスポーツと同じプラットフォームとなり、国内専用の新設計ボディが組み合わされている。

 ボディはキャビンまわりに超高張力鋼板を多く使い、フロントガラスとバックガラス(カローラのみ)の取り付けに高剛性ウレタン接着剤を用いるなどして、高剛性化と軽量化を両立させた。従来のカローラと比較して、ねじり剛性で67%アップを実現している。サスペンションは、フロントにマクファーソンストラット、リヤにダブルウイッシュボーンを採用。サスペンションのディメンションはカローラスポーツをベースにしており、そのうえでスプリング、ショックアブソーバーなどの設定をカローラ/カローラツーリングに合わせて最適化している。

 サスペンションの設定では「ドライバーの運転中の目線の動き」に着目し、車両姿勢の変化によって目線がどう動かされるのかをセッティングの指標とした。車両姿勢の変化とは、走行中のヨー(旋回)/ロール(左右の傾き)/ピッチ(前後の傾き)という動きのこと。これらはシートから伝わる体感情報よりも、目で捕らえている視覚情報のほうが感度が高く、ドライバーはそれによって、次の操作・車両姿勢を予測しているという。よって車両姿勢の変化を人間が予測しやすい動きとすることで、目線の動かされが低減できると考えた。これにより疲労の軽減や、より的確な操作を行なうことができるということだ。

 目線の動きを小さくするために、サスペンションやパワーステアリングをセッティング。ショックアブソーバーはカローラスポーツにも採用されたもので、作動時の摩擦力や横力(ショックアブソーバーに横方向から加わる力)によって発生する摩擦力もショックアブソーバーの減衰力として生かすべく、内部のブッシュやオイルも専用品とし、耐久試験では500通りを超える組み合わせを試したという。これにより「乗り心地と上下動の収まり」の性能を両立。このショックアブソーバーを、カローラ/カローラツーリング専用に新たにセッティングして採用している。

 また、車両姿勢の変化をより的確に把握するには「姿勢の決まりやすさ」が重要ということで、とくに旋回時のハンドル操作の始まりと終わりのタイミングに、ロールやピッチが始まったり収束したりする瞬間が一致すべきと考え、ショックアブソーバー、減衰力の伸/圧、前後バランスのチューニング、電動パワーステアリングの制御も変更した。ハンドル切り込み時/切り戻し時それぞれに、タイヤからの手応えを感じさせつつ、操舵力が重くならないようにして修正舵を低減し、操舵によるライントレース性を高めている。

 新型で目指したのは「直結感のあるハンドル操作」だ。ショックアブソーバーやパワーステアリングを含むシャシー全体のセッティングは、エンジン・駆動別(3種)/ボディタイプ別(2種)/タイヤサイズ別(2種)で、それぞれ専用となっている。全体的な方向性としてはG-X、Sではコンフォート、W×Bではスポーティな味付けになっている。

 そのほかシャーシコントロールの技術としては、「ばね上制振制御」を採用(ハイブリッド車/ターボ車)。これは、走行中、前輪が路面の凹凸によって上下動するような状況のとき、前輪の駆動トルクを自動的に調節して、車体の揺れが小さくなるよう制御するというもの。これにより、滑らかでフラットな乗り心地が得られる。また、旋回時に走行軌道が大きく膨らまないように、車速や操舵角、旋回Gなどによって内輪に自動的にブレーキをかける「ACA(アクティブコーナリングアシスト)」も新たに採用している。


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