現金一括よりもローンがお得! ディーラーでの新車購入最新事情 (1/2ページ)

残価設定ローンの登場が新車購入に大きな影響を与えた

 日本での新車購入時の支払い方法は長い間、現金一括払いが圧倒的に多かった。現金一括払いといっても、銀行などの金融機関から融資を受けたり、勤め先の共済会など融資を利用し、ディーラーへは現金一括払いという形になるケースも結構含まれていた。ただ、“ディーラーローン”と呼ばれる、新車ディーラーが仲介するローンの利用は少なかった。その背景には、金利がかなり高かったことが挙げられる。購入する新車を担保に入れるので、ディーラーローンは与信が通りやすかったが、とにかく金利が高かった。

 しかし、残価設定ローンが登場すると様子が徐々に変わってきた。残価設定ローンは、あらかじめ3年や5年先の購入車種の残価を各信販会社が設定した残価率に基づき算出し、それを支払最終回分として据え置き、残った分を月々分割して支払うことで、月々の支払い負担を軽減するというもの。しかも、据え置いた支払最終回分は現金での精算以外、車両の返却や、新車への代替えなどで相殺することも可能となり、メーカーやディーラーとしては継続的な代替えを繰り返してもらうための、“囲い込み策”として設定金利も低めにし、お客に残価設定ローンの利用を促している。この残価設定ローンの登場により、ディーラーローンを利用しての新車購入が飛躍的に増えているのが現状である。

 よく「ローンを利用すると値引きがアップする」といわれるが、これは事実である。ディーラーローンとは、ディーラーが直接購入者に融資しているわけではなく、一般的にはメーカー系信販会社との契約となる。ディーラーと提携関係にある信販会社の商品(ローンプラン)を、ディーラーが代理店としてお客に利用を勧めるものであり、購入客が提携信販会社のローンを利用したときは、ディーラーに提携先からバックマージンが支払われる。そしてこの一部が値引きアップの原資となるのである。

 しかし、金利は発生するので、もともと現金一括払いを予定していたのに、“値引きがアップするから”とローンを組んでも、まるまる得をするというものでもないので注意してもらいたい。最近のディーラーローンは残価設定タイプならば、3%前後の金利も珍しくないので、金利負担を考慮しながら、短期間だけローンを組むと得することもあるので、慎重に判断してもらいたい。

 最近では、“全2回払い”とか、支払回数がかなり短いものも注目されている。これはもともと現金一括払いで新車購入を検討しているひと向けともいえるもの。全2回ならば、購入時に支払総額の半分を払い、残りを3年後などに支払うというもの。3年という短期ローンが主流となるので、下取り査定をすると、残債以上の下取り査定額となることも珍しくないとのこと。つまり、購入する側としては、仮に新車購入資金として400万円用意したが、初回の200万円は現金で支払い、残りの200万円を当該車両の下取り査定額で相殺できれば、200万円の現金が手元に残り、ほかの買い物や海外旅行ができるというもの。

 ディーラーとしては、次も同じタイプのローンでというわけにはいかないが、残価設定ローンを組んでもらうことで、新車への代替えが促進できるメリットがある。下取り査定額で残債を整理しても、“お釣り”が残れば、それも次の新車購入資金に回せるので、代替え促進も行いやすいのである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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