タイヤ交換が劇的にラクになると思えるけどなぜ? レースカーやスーパーカーが採用するセンターロックナットが普及しないワケ (1/2ページ)

熟練メカニックならタイヤ脱着が数秒で可能になる

 乗用車のホイールは5穴か4穴が主流。しかし、F1をはじめレーシングカーや、ポルシェやフェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレンなど、一部のスーパースポーツモデルは、1穴=センターロック式を採用している。センターロックのメリットは、ホイールひとつにつきナットがひとつしかないので、あっという間にタイヤ交換ができること。1/100秒、1/1000秒を争うF1の世界では、レース中のタイヤ交換作業は2秒台で済ますのが当たり前! それだけの速さを求めるのなら、センターホイールに行き着くのも納得できる。

 レースで使えるぐらいなので剛性も高いし、ホイールのデザインも4穴や5穴よりかなりすっきりさせることもできる。ではなぜセンターロック式は普及しないのか。それはやはり、費用対効果が見合わないから。センターロックの一番のメリットはスピーディなタイヤ交換だが、雪国でも年に2回しか交換しないタイヤのために、そのような速さは必要ない。しかも、センターロック式ではひとつのナットで確実に締結させなければならないので、規定締め付けトルクがメチャクチャ高い! 例えばポルシェ997GT3の締め付けトルクは、600Nm

 これだけの締め付けるトルクが必要になると、1mを超える長いレンチと特殊な大きなソケット、さらに専用のトルクレンチも必要。交換作業も下手をすると、レンチを回す人とソケットを押さえる人、そして車内でブレーキを踏んでいる人まで必要になる。当然、素早い交換作業なんてできっこない……


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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