巨大市場の中国ではやっぱりEVが主役! 遅れをとっている感が拭えない日本メーカーへの不安 (1/2ページ)

目立つ位置に展示されていたモデルにトヨタマークがなく……

 第17回広州国際汽車展覧会(広州ショー)の広州豊田ブースへ行くと、見慣れないモデルが展示してあった。その名は“iA5”、セダンタイプのBEV(純電気自動車)である。しかし、「どこかで見たことあるなあ」と、隣の広州汽車ブースを見ると、見た目もよく似ている“Aion S”というモデルが展示してあった。

 地元の報道を見ると、「見た目は多少異なるものの、iA5は広汽新能源のAion Sの兄弟車となる」というような感じで報道していた。確かにトヨタ車だというのに、フロントとリヤのセンターにはトヨタのあのエンブレムではなく、広州汽車のエンブレムがついている。正式にはどのような表現が使われているのかは確認できないので、OEMと言い切ることはできないが、少なくともトヨタの技術が100%そのまま採用されているモデルではないのは確か。

 それなのに、広汽豊田の看板車種であるカムリをブースの隅に追いやり、iA5がブースのセンターに複数台数が展示されていたのだ。さらに、広汽豊田は今回のショー会場において、RAV4の兄弟車となるワイルドランダーをワールドプレミアしたというのに、ワイルドランダーよりも目立っている印象を受けた。

 昨年も同タイミングで広州ショー取材のために広州市を訪れたが、ちょうど乗用車やタクシー向けに、ナンバープレートの上部が白で下部が薄いグリーンとし、センターへ向けグラデーションとなっているナンバープレートを“新能源車(新エネルギー車/BEV、PHEV、FCEV)専用に設定したばかりで、新能源車の本格普及が始まっていた時期。1年後となるいま、広州市内を訪れてみると、市内中心部の路線バスの大半がBEVとなっており、タクシーも見た感じでは4割強がBEVとなっていた。

 一般ユーザー向けのBEVも順調に増えているようで、トヨタオリジナルではなくても、トヨタブランドでBEVをラインアップしたいと販売現場が考えるのも無理のない話。そうしたなかでもBEVではない新型レビン(広汽豊田でラインアップするカローラの兄弟車)は堅調に売れているが、補助金やナンバー発給規制対象外など、その手厚いインセンティブは消費者から見ればかなり魅力的なものであり、メーカーや販売現場も新車販売という面でBEVを無視できないのは当たり前だ。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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2019年式トヨタ・カローラ セダン S
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