初代日産リーフの二の舞になる? なぜホンダとマツダ航続距離の短いEVを登場させるのか (2/2ページ)

欧州の消費者には理想的なEVといえる

 裏付けとして、搭載されるリチウムイオンバッテリー容量がある。初代リーフの初期型は、搭載バッテリー容量が24kWhであった。これに対し、ホンダeもマツダMX-30も初代リーフの約1.5倍となる35kWhとしている。したがって、初代リーフの実用走行距離が150kmとしたら、200kmプラスの走行距離を稼げる可能性があると計算できる。

 国内では、急速充電を繰り返しながら長距離ドライブをするときの懸念がよく語られるが、ホンダeもマツダMX-30も、まずは欧州市場を視野にした販売になると考えられる。欧州の人たちが求めているのは、まさに日常的な通勤などで使えるEVだ。片道100km走れれば十分で、それ以上のバッテリーを積むことによって車両価格が上がれば手に入れられなくなる。

 いま、ドイツを含め欧州で課題となっているのは、古いディーゼル車に乗るひとびとが都市部へ入れない流入制限が行われていることだ。これに対し、欧州自動車メーカーが発表する電動車両はいずれも高級車が中心である。庶民が買えないものばかりだ。そこへ走行距離は合理的な範囲で、手ごろな価格で販売されれば、欧州の消費者は飛びつくだろう。

 日本の実感だけで物を語ると、世界の様子を見そこなう可能性がある。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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