【試乗】メルセデス・ベンツE350deは日本待望のパワーユニット搭載! 速くて静かで言うことなしのデキ (1/2ページ)

日本市場では圧倒的に走行維持費が下げられるディーゼルPHEV

 メルセデス・ベンツが大変なことになっている。世界中の自動車メーカーがコストの「選択と集中」に躍起となり効率的な新車開発に取り組んでいるなかで、メルセデス・ベンツに限っては何でもありの乱れ撃ちともいえるような状況なのだ。それはそれでユーザーにとっては選択肢が広がりありがたいことなのだが、反面開発費が嵩み、販売価格が上がってしまっては受け入れられない。

 今回メルセデス・ベンツが新規投入モデルの多くを同時に試乗させる大規模試乗会が開かれ、AクラスからGクラスまでが揃えられていてその数40台以上! それでもまだ全モデルには及ばないというのだ。現行のカタログモデルだけでも100台以上に及ぶバリエーションとラインアップの多さはトヨタ/レクサスをも凌ぎ、もはや販売店側もすべて把握しきれないと思われるほどなのだ。

 今回はそのなかで、とくに注目のモデルを選んでご紹介したいと思う。最初に試乗したのはE350deだ。現行Eクラスにはなんと1.5リッターから4リッターのAMGまで含め計8タイプものパワートレインが用意されている。そのなかでもっとも注目されているのが350deに搭載された2リッター直列4気筒ディーゼルターボエンジンにハイブリッドモーターを組み合わせプラグインハイブリッド(PHV)として構成している350deのパワートレインなのだ。

 ディーゼルエンジン+ハイブリッドの組み合わせは以前S300hとして設定されていたことがあり、僕が試乗したなかで最も実用燃費に優れたクルマとして記憶に残っていた。だがS300hはクリーンディーゼル化されず廃止され、現在は3リッター直6クリーンディーゼルを搭載するS400dに引き継がれている。

 国内ではハイオク燃料に比べ軽油はリッター当たり価格が圧倒的に安く、ディーゼル+ハイブリッドがあれば走行維持費はかなり安く抑えられる。しかし国産メーカーにディーゼル+ハイブリッドの可能性を打診すると「コストがかかりすぎて無理」という返事が返ってくる。だがメルセデス・ベンツはあえて新型クリーンディーゼルエンジンを開発しハイブリッド化。さらに13.5kwhのリチウムイオンバッテリーを組み合わせてPHVとして市場投入してきたのだから恐れ入る。

 しかも、ディーゼルを忌み嫌うユーザーもなかにはいるので2リッターガソリン直噴ターボエンジンでPHV化した350eも同時に投入。価格差は23万円に抑えているのだ。

 350に搭載されるリチウムイオンバッテリーはダイムラー社の完全子会社である「Deutsche ACCUMOTIV」社製でリアアクスルの上に配置されている。これによりトランクスペースがやや狭まってしまったのが唯一の難点だが、それでもトランクスルーは可能としていて利便性を確保している。

 給電ジャックはリアバンパー右端に設けられ一般家庭に設置できる200Vの専用充電器なら1.5時間でフル充電できる。100Vの家庭用コンセントでも5時間で充電可能で、それでも十分だろう。あえてコストのかかる急速充電機能を持たせなかったことも歓迎できる。PHV車が街中に設置された急速充電器を使用していたらBEV(完全EV)車が待たされる時間が長くなるだけでEV普及の足かせになりかねないからだ。350deは満充電で50kmのEV走行が可能で、一般的な日常の走行範囲ならEVとして使用できるだろう。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

新着情報