【じつは売れないってわかってる?】アメリカで成功するも日本でウケない国産車を販売するワケ(前編) (2/2ページ)

トヨタRAV4の撤退とホンダCR-Vの不振

 まずは、トヨタRAV4だ。トヨタとして10年ぶりに、日本でのCOTY(カー・オブ・ザ・イヤー)を獲得して販売絶好調の最新モデルだが、ここに至るまでの道のりは長かった。

 初代RAV4は、CMキャラクターにキムタクを起用し、都会派の小型SUVとして人気を博した。だが、アメリカからは「サイズが小さ過ぎる」という声が多く、第二世代から段階的にボディサイズはアメリカン人好みに大柄化した。その結果、2016年にはアメリカを含めた世界市場で最多販売台数SUVになりながら、日本では販売を終えると事態に及んだ。

 そうした反省をもとに、アウトドアがファッションなどカルチャーっぽく人気が出てきた日本市場も十分意識した、オフローダーイメージに刷新したことで、RAV4としての新たなる道を切り開いた。

 一方、ホンダCR-Vは日本市場でのミスマッチが続いている。クロスオーバー系SUVでも、オフロード系SUVでもない、アメリカ人好みの大柄CR-Vは日本人ウケしない。ヴェゼルとの差別化もなんとなく中途半端な状態だ。

 RAV4の戦略変更を見たホンダとしては当然、メインマーケットのアメリカに軸足を置きながら、日本市場での新規展開を狙う次期CR-Vの開発を進めているはずだ。理想的には、北米CR-Vと日本CR-Vは別モノにすることもあるかもしれない。だが、2019年春にホンダ上層部が正式に表明しているように、仕向け別の専用モデルは廃止または基準モデルに統合されていく。そのため、やはり次期CR-VはRAV4のようにオフロード系SUVに転じる可能性が高いのではないだろうか。

 自動車メーカー各社は、中国、アメリカ、そして日本という世界三大市場のなかで、最良の採算性を追い求めるという、難題を抱え続けることになる。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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