【昔のスポーツカーのほうがカッコイイとの声続出!】低いロングノーズのクルマが消えたワケ (2/2ページ)

いまデザイナーよりもエンジニアが外観を決める!?

 具体的には、

●エンジンをリヤに持っていく

 フロントにエンジンがなければ、ボンネットが低くても衝撃を吸収するスペースは確保できる。

●CFRP(カーボンコンポジット)などへの材料置換

 ボンネットの素材をスチールやアルミではなく、CFRPなど、適度なヤング率、大きな弾性変形域、優れた衝撃吸収能力、低比重の新素材を模索し、材料物性・構造を見直すという研究も進められている。

●エンジン、モーターの小型化

 フロントエンジンでも、エンジン自体が小さければ、クリアランスに余裕ができるので、エンジンの省スペース化は有効。既存のエンジンでも、3代目プレリュードのように、エンジンを18度後ろに傾けて、ボンネットを低くする方法もあるし、初代エスティマのようにエンジンを75度傾斜して低床化を実現した例もある。

 その他、ドライサンプ化してエンジン高を下げたり、ロータリーエンジンを使ったり、EVにしてモーターを使えば、低いボンネットでもイケるはず!?

●ロングノーズ化する

 ボンネットが高くても、ロングノーズ化して先っぽを尖がらせれば、鼻が長くてカッコいいクルマの出来上がり! しかし「慣性モーメント=出っ張りの重さ×出っ張りの長さ」である以上、運動性能を考えると、オーバーハングは短ければ短いほどいい。運動能力を犠牲にしないと、このロングノーズ化によるスラントノーズは成立しないので難しい……。

●ポップアップフードの採用

「ポップアップフードシステムとは、万一の歩行者事故の際ボンネットフードの後ろ側を持ち上げ硬いエンジンなどとの間に空間をつくり、歩行者の頭部に与える衝撃を和らげる技術」(ホンダの資料より)。

 これはけっこう実用的だが、問題はコスト。高級車はいいとして、小型車にはなかなか……。あとは、スラントノーズ、ウェッジシェイプに頼らないで、カッコいいクルマを作り出すいう道も考えておきたい。

 今年(2019年)に亡くなった、自然をモチーフにした「バイオデザイン」の元祖、ルイジ・コラーニさんや、“違いのわかる男”=ムーンクラフトの由良拓也さんは、鋭い鼻先とは違うカタチを見せてくれたデザイナーだ。

 レーシングカーも含め、最近のクルマはエアロダイナミクスと安全性のプライオリティが高く、デザイナーよりエンジニアのほうがスタイルを左右する力が強い傾向があるが、カッコいいクルマを登場させるためには、このエンジニアとデザイナーのパワーバランスを見直すことも重要。

 デザイナーの皆さんにもっと奮起していただいて、空力や安全を確保したうえで、もっとスタイリングを重視したクルマを世に送り出していただきたい。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

愛車
日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
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