あおり運転はもちろん「あおられ運転」もまた迷惑!  左車線が空いているのに追い越し車線を走り続ける行為がなくならないワケ (2/2ページ)

走行車線からの追い抜きもあり!

 もうひとつが、「追い付かれた車両の義務違反」で、こちらは法定速度未満で走行しているときに後続車両に追い付かれたら進路を譲らなければならない(その際に加速することも違反)というもの。法定速度未満という条件が付くので、スピード違反状態で追い付かれたとしても、この違反には問われないだろうが、猛スピードで迫ってくるクルマを認識したら、安全に車線を変えて道を譲ってしまうのが得策だ。

 そもそも走行車線を走っていれば、後方から猛スピードで迫ってくるクルマに遭遇することは少ない。速いクルマは追い越し車線を走るからだ。その意味では、後方に気を配る余裕があまりないというのであれば、左側の走行車線を走っているほうが安心であるし、走りやすいはずだ。

 一方、追いついた側の視点でいえば右側の追い越し車線にクルマが並んでいる状態というのは、一台一台が車線を変更するのを待っていられないという気分にもなり、そうしたイライラがあおり運転につながってしまう。もし、追い越し車線を法定速度以下で走行するクルマが連なっているようであれば、走行車線を法定速度で走って追い抜いてしまえばいい。

 左側から追い越すことはルール違反だ、と思うかもしれないが、道交法でいう追い越しは車線変更をして、ふたたび走行車線に戻るところまでがワンセットとなる行為だ。本当に追い越し車線にクルマがズラっと並んで、法定速度以下で走行しているとすれば、それは渋滞に近い状態といえる。

 そして、法定速度を守っている範囲において走行車線は追い越し車線よりも速度を落とさねばならないというルールはない。たまたま走行車線のほうが流れていて“追い抜いて”しまうぶんには問題にならないのだ。あえて、あおり運転と疑われるようなリスクを冒す必要はなく、流れているほうの走行車線を淡々と走っていればいいだけの話だ。

 ちなみに、前述した「追い付かれた車両の義務」が課されるのは法定速度未満で走行している車両。法定速度を超えているクルマに追いついた場合は、「道を譲るのは道交法で決まっているルールだ」とは言えないことは覚えておこう。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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