【サーキットでも使うチャンスはほぼゼロ!】それでも急発進システム「ローンチコントロール」が市販車に搭載される理由 (2/2ページ)

サーキットでもローンチコントロールを使う機会はほとんどない

 ある日産の技術者によると、海外のスポーツカーオーナーから、意外にリクエストが多いという。

「海外のユーザーは、公道でも制限速度までのフル加速はOKと思っている人もいるみたいです。一度体験すると、自分のクルマって、こんなに速いんだ、という満足感が凄いので……」。

 ちなみに、日産GT-R(R35)NISMOがローンチコントロールを使って急発進すると、何とその最大加速Gは、1.5Gにもなるという。

 一般的なスポーティーカーにハイグリップラジアルタイヤを履いて、フルブレーキをかけたときの減速Gがおよそ1.0Gなので、その1.5倍の加速Gとなるとちょっと驚き。レーシングドライバーのように普段から首を鍛えていないと、首が痛くなるほどの大きなGだ。

 500馬力、600馬力、700馬力というハイパワーを誇っても、そのパワーを最高速で実感できるチャンスはたとえサーキットでもほとんどない。そのとんでもないパワーを体感できるという意味では、発進加速で試すのが一番現実的ということだろうか。

 速さに対する夢をかなえたクルマがスーパーカーだとすれば、たとえ0→60㎞/h加速だとしても、ローンチコントロールで異次元の加速を体験するという選択肢があってもいいのかもしれない。

 ただ「ローンチコントロールは、サーキットで」といった意見もあるが、一般的な走行会で、本コース上で停止しフル加速するシーンは皆無で、なおかつピットロードで急加速するのも非常に危険。じつは貸切にでもするか、草レースのスタート時でもなければ、サーキットでもローンチコントロールを使う機会はほとんどない……。

 さらに、ローンチコントロールを使うと、エンジンや駆動系に大きな負担がかかることになるが、それでも「抜かない伝家の宝刀」としてその機能がついているというのは、ユーザーにとって魅力になるはず。

『武士は、刀を常に磨いてさやの中におさめておく。抜かないところに武士の価値がある』という言葉があるが、「その気になれば、トップドライバーと同等の最高のフル加速ができる」ことがローンチコントロール付のハイパフォーマンスカーの付加価値、商品価値になるのなら、ローンチコントロールを装着する意味はあるだろうし、ロマンにつながるといえるだろう。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

愛車
日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
趣味
-
好きな有名人
-

新着情報