カタログに表記なし! オートメッセで展示された日産リーフニスモに装着されていた「レカロ」の謎【大阪オートメッセ2020】

レカロ製のセミバケットシートが装着されていた!

 2020年2月14日(金)より16日(日)までインテックス大阪で開催された「第24回大阪オートメッセ2020」で、6A号館にブースを構えた日産自動車。そこではGT-RとフェアレディZの50周年記念車やスカイラインの400Rスプリント/デラックスアドバンスドコンセプト、GT-Rニスモが多くの来場者の目を引いていた。

 が、その片隅にはリーフニスモが、なぜか参考出品車としてひっそりと展示されていた。

 簡単におさらいすると、リーフニスモは2018年7月に発売された、現行2代目リーフをベースとするコンプリートモデルだ。

 空気抵抗を増やさずダウンフォースを増大させる「ニスモ」シリーズ共通のエアロデザイン「レイヤードダブルウィング」を採用したのに加え、タイヤ・ホイールを18インチに拡大しハイグリップ化し、ダンパー減衰力をフロント25%、リヤ33%アップ。

 EPSのセッティングを低速域から重めにするとともに、4輪のブレーキを独立制御しライントレース性を向上させる「インテリジェントトレースコントロール」や電動型制御ブレーキも操縦安定性重視に変更している。

 さらには、標準モード時のモーター制御を全面的に変更。特にBレンジかつ、アクセルオフ時に最大0.2Gまで減速する「e-PEDAL」がオフの際は、加速時のみならず減速時もリニアかつ素早くGが立ち上がるようになっている。

 だが、インテリアは黒を基調に赤のアクセントとガンメタクローム加飾をあしらったスポーティな装いとしつつも、機能の違いは最小限。ステアリングがアルカンターラ巻きとなり滑りにくくなったものの、シートは色の変更のみで形状・素材ともノーマルと変わらず、レカロシートも設定されていない……はずだ。

 オートメッセの会場に展示されていた車両のスペックシートを見ると、カスタマイズの内容は、日産純正フードデカールと、室内のNISMOフロアマットのみとなっている。

 そのはずが、室内を覗いてみると、レカロ製のセミバケットシートがフロントに装着されている!

 実際に座ってみると、ヒップポイントは若干高めではあるものの、この方が視界は良く首や腰への負担も少ないのでむしろ好ましい。そしてサイドサポート、何より身体全体とのフィット感が、従来のシートとは比較にならないほどレベルアップしていた。

 従来のシートは、表皮以外はノーマルと何ら変わらない。そのため、ノーマルでさえ平板な形状でサイドサポートも物足りなかったというのに、ニスモでは少なからず向上した旋回性能と加減速の過渡特性に対し完全に役不足な代物だった。だからこそ、レカロシートの設定はリーフニスモの発売以来、ずっと待ち望まれていたものだった。

 なお、日産が2019年12月12日および2020年2月6日に発行した、オートサロンおよびオートメッセ出展概要のプレスリリースにあるリーフニスモの紹介文を読むと、その文末には「今回展示する車両は、前席にオプションのRECAROシートを装着しドライバーの着座安定性を向上させ、電気自動車のスポーツドライビングを楽しめるモデルに仕上げています」とある。

 だが、リーフニスモの発売以来、一部改良などでレカロシートがオプション設定されたという公式発表は、過去に一度もされていない。オートメッセの会場で説明員に話を聞いた所、リリースと同様の説明を受けたものの、「ではいつからオプション設定されたのか?」と質問しても、明確な回答は得られなかった。

 そして、日産のWebサイトにあるリーフニスモの製品紹介ページを確認しても、レカロ製セミバケットシートに関する記述はどこにもない。

 これを日産広報部に確認した所、最終的な回答は「レカロシートは現時点ではリーフニスモに設定されていない」ということだった。

 余りにも誤記が多く、いたずらに混乱を誘う状況になっているのは残念と言うより他にないが、ともあれリーフニスモに一刻も早くレカロシートを装着できるようにしてほしいと、心より願うばかりだ。

 近年の日産はリーフニスモに限らず、パワートレインまたはボディ・シャシーの完成度が高く仕上がったクルマを、筆舌に尽くしがたいほど出来の悪いシートですべて台なしにするケースが少なくないが、そろそろそうした状況に終止符を打っていただきたい。


遠藤正賢 ENDO MASAKATSU

自動車・業界ジャーナリスト/編集

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