【試乗】悪路走破性と引き替えの実用性の低さとはオサラバ! メルセデス・ベンツ「G350d」の圧倒的な走りと上質感 (1/2ページ)

現行モデルでは舗装路での乗り心地や走りを向上

 1979年に登場したメルセデス・ベンツ最強クロスカントリービークルであるGクラスは2018年にフルモデルチェンジを受けて現行モデルにまで進化させられている。その完成度は素晴らしく、2018〜19年の日本カー・オブ・ザ・イヤーにノミネートされたなら満点を配するつもりでいたほどだ。

 それまでのモデルはクロスカントリー専用と考えれば納得はできたが、オンロードでの乗り心地の悪さや、ステアリングギヤ比が大きく多大な操舵量が必要な面など、実用的とは言い難かった。

 それが現行モデルになってからはほかのメルセデス・ベンツ車と同等の乗り心地や質感を実現していて、走行性能も格段に高められていたのだ。前後バネ下に重いアクスルを配した4輪駆動レイアウトゆえ、凸凹路面を高速で通過する際にはバネ下重量の大きさが災いして路面追従性を損なう。さらに前後リジットアクスルゆえ左右輪が干渉しあい、舗装路においても轍などでワンダリングが悪化し、直進性を害していた。

 現行モデルではそうした負の遺産が一掃され、モダンな高級車としても相応しい、舗装路での走行安定性や快適性を与えられている。だからといってオフロードの走破性が犠牲にされたわけではない。大きなグランドクリアランスに高いフロア、アプローチアングルやデパーチャーアングルなど伝統的なオフロード適合性を引き継いでおり、最深渡河性能も70cmを可能とするなど逞しさは微塵も衰えていない。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

新着情報