【試乗】AMG GT53 4MATIC+は超絶ハイパフォーマンスでも運転はイージー&スムース! (2/2ページ)

想像以上にスムースな走り!

 走り始めると、複雑なパワーユニットを搭載していることをまったく感じさせないほどスムースで滑らかに動き出す。電動スーパーチャージャーはエンジンの回転数が低い状態から過給を開始し、一方ISGのジェネレーターモーターが低回転域でのトルクをアシストする。その複雑な制御が完璧で、ドライバーはただ大排気量のトルクフルで扱いやすいエンジンを操っているかのような錯覚さえ覚える。

 シフトプログラムも秀逸で変速ショックが抑えられている。知らないうちに最適なギヤを選択していて、表示を見なければ何速で走行しているのか数えられないほど。車速が上がっても変わらず、ターボチャージャーの過給が始まり大パワーが発揮される高速域までスムースなまま。コンピュータがスロットル開度や車速、Gセンサーなどを演算して最適なドライブモードを提供してくれるので、ドライバーは運転に集中できる。

 ハンドリング面も完成度が高く、巨体を感じさせないほどアジリティに富み、回頭性、ライントレース性に優れている。ステアリングのプレシジョン(正確性)が高く、ハイスピードでも狙ったラインを外さない。加えて20インチのロープロファイル高性能タイヤを装着しているとは思えないほどの乗り心地の良さを示していた。路面からの突き上げ入力を柔らかにいなしながらも、しっかりしたダンピング特性で車体姿勢はつねに安定する。ロールが少なくロードホールディングの良さをステアリングから感じ取ることができ、安心感が得られる。

 このGT53を富士スピードウェイで走らせる機会にも恵まれたのだが、一般道で得られた好フィールはサーキットでも健在でバランスを崩すことがなかった。高い速度域での直進安定性、高速コーナーでのバランスの高さ、そして低速コーナーではアジリティが高く軽い身のこなしを可能とする。シャシーの捻り剛性が高く4輪の接地性が手に取るようにわかる。さすがAMG社が送り出すクルマだと納得させられた。

 GTには43モデルや63モデルといったパワートレイン違いのラインアップも揃っている。53はその中核に位置する存在だが、実用性の高さと走行性能、燃費、快適性などすべてのバランスが良くベストチョイスの「GT」だと言える。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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